マドリードの「シックスマン」。過小評価されたマクマナマンの実像

　彼の記録は注目すべきものだった。彼は4シーズンで94試合のリーグ戦にしか出場しなかったものの、2つのリーグトロフィーと2つのチャンピオンズリーグトロフィーを、いずれにおいても重要な役割を果たして手にした。

　バレンシアとの決勝戦を戦った2000年、いまだに極めて過小評価されているゴールを決めた。3-0で勝利したチームの2得点目は、高いところから落ちてきたボールを、ペナルティエリアにさしかかったあたりから、完璧なジャンピングボレーで彼が決めたものだった。

　ボールはワンバウンドしてサイドネットに突き刺さり、ゴールキーパーはこの豪快なボレーをただ見過ごすことしかできなかった。まさにマクマナマンと言ったゴールだった。非常に効果的なボールのパフォーマンスを強調する、素晴らしい即興的な作品だった。

　2002年にはバルセロナを相手に、美しいチップキックを決めてチームを決勝に導いた。彼はまたしても大舞台で力を発揮したのだ。

　ライアン・ギグスは自身のプレースタイル変化させたことを、長年にわたって評価されてきたが、マクマナマンはより完璧な変身を成し遂げたことは間違いない。

　結局のところギグスは、彼の最後のボールが本当に危険な武器に変化したとしても、過去の選手を漂わせることが最大の資産だという選手のままだった。一方マクマナマンは、ジョン・バーンズのキャリアに近い軌道に乗って、ウィンガーから中盤のコントローラーに変身を遂げた。そして彼が数に数えられ、チャンスを与えられたときは、その役割で最大の違いを生み出した。