著者:マリオ・カワタ
22日の柏レイソル戦、62分のことだった。V・ファーレン長崎は敵陣でフリーキックのチャンスを得るが、ゴール前へ上げたボールはディフェンダーに跳ね返され、柏はすぐさまカウンター攻撃を仕掛ける。伊東純也から前線のクリスティアーノへと素早くボールが渡り、長崎は大きなピンチを迎えるかと思われた。
しかしそのドリブル突破に澤田崇が対応してスピードダウンさせると、更に他の選手たちも次々と全速力で帰陣し、なんと11人全員がペナルティエリアに入った。ボールを奪われてからの時間はわずか14秒。結局柏はこの場面でシュートさえ打てなかった。
この場面以外にも、長崎はいったんボールを失えばチームのほぼ全員が帰陣して守備を行うことは珍しくなかった。その決してサボることがない運動量を証明しているのが走行距離で、リーグの公式サイトによればこの試合で長崎は合計117.4kmを走り相手の107.9kmを実に10kmも上回っている。またこれまでのリーグ戦10試合で走行距離が対戦チームを下回った試合は一つもない。
長崎は実に15本のシュートを浴び、ボール支配時間は柏の半分ほどしかなかったが、相手からすればこのようなチームからゴールを奪うのは容易ではない。そしてこの試合3本しかシュートがなかった長崎は50分にセットプレーから1点を奪うと、そのゴールを守り切って会心の勝利を挙げた。
さらに25日にもアウェイでジュビロ磐田を2-1で下した長崎は勝ち点を14に伸ばし、J1初参戦のシーズンの最初の10試合の成績としては2014年の徳島ヴォルティス、2015年の松本山雅を上回るスタートを切ることに成功した。この数字は、J1初年度を5位で終える躍進を見せた2012年のサガン鳥栖(開幕10試合で勝ち点16)にさえ迫るものだ。
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