Jリーグ サンフレッチェ広島

2013年の再現なるか。鉄壁守備を誇るサンフレッチェ広島

サンフレッチェ

サンフレッチェ広島の守備を支える林卓人(右)と水本裕貴 写真提供:Getty Images

サンフレッチェ広島は2013年を再現できるか

 今シーズンが始まる前、城福浩監督はボールを支配する、攻撃的なサッカーを目指していた。しかし実際にはそうならなかった。もちろんサポーターたちはそれについて、いかなる批判もしていない。2018年のサンフレッチェは城福監督のもう一つの面、“超守備的”なアプローチをとっている。サンフレッチェはリーグで最も低い平均ボール保持率41.7%を記録しており、唯一ボール支配率で上回ったのは0-0で試合を終えた、第4節のジュビロ戦だけだ。第2節のレッズ戦では32%のボール保持率ながら2-1で勝利している。この試合は唯一失点を喫した試合だったが、それと同時に唯一2得点以上あげた試合でもあった。

 しかし、サンフレッチェディフェンスは攻略されない組織ではない。相手チームを無力化する力を持っているのだ。実際にシュートを許した数でいえば、リーグの上から7番目にすぎない。第6節までに彼らは60本のシュートを許し、1試合平均10本のシュートを浴びている。比較として、同じスパンでガンバは82本のシュートを打たれ、レッズは42本のシュートしか許していない。加えて、サンフレッチェはファウルが多い。130回のファウル数はリーグトップである。しかし7枚のイエローカードしか提示されておらず、レッドカードはゼロ。数こそ多いが危険なファウルは少ないのだ。

 攻撃面では、サンフレッチェはシュート数が湘南ベルマーレの34本に次いで2番目に少ない(42本)。反対に最もシュートを放っているのは、北海道コンサドーレ札幌で82本だ。シュートを多く打つことではなく確率を上げることが重要であり、その面でサンフレッチェは輝きを放っている。放ったシュートの14.2%がゴールになっているのだ。今シーズンの全6ゴールはそれぞれ異なる選手が決めており、特定の選手に依存していないことが分かるだろう。

 まだシーズンは始まったばかりだが、もしもサンフレッチェ広島のディフェンスが徐々に崩壊していけば、1996年のフリューゲルスの二の舞を踏むことになるだろうし、このまま強固な守備を維持できれば2013年の再現を期待できるだろう。どちらになるかは誰にもわからない。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB

ページ 2 / 2