代表チーム ブラジル代表

アリソンとエデルソン。世界をけん引するブラジル代表の2人のGK

アリソン・ベッカー(左)とエデルソン・モラレス(右) 写真提供:Getty Images

 エデルソンとアリソンはそれ以来、世界で最も優れたゴールキーパーのうちの2人であることをアピールしてきた。彼らはすべての項目をクリアしている。ゴールキーピングの基本を押さえているだけでなく、強度の高いプレッシングと高いディフェンスラインでプレーする現代サッカーの、トップレベルで活躍するだけのクオリティを有している。

 彼らは似ているが同じではない。エデルソンはより実用的なオペレーターだ。彼が行うことはすべて正しく、彼の能力はチームにとって不可欠だ。彼は真に威厳ある存在なだけでなく、ビルドアップの有能な“作曲家”でもある。これはジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティにとって極めて重要だ。彼は相手ディフェンスが見せる積極性に関係なく、後ろのポジションからポゼッションをコントロールすることを狙っている。

 24歳は急速な成長を見せて、目立つことを楽しんでいる。3年前、彼はベンフィカのBチームに在籍しており、彼がブラジル代表デビューを飾ったのは、去年の10月に過ぎない。しかし彼はフットサルを学んで得た特性を活かすことで、プレミアリーグのリーダーに素早く対応することができた。

 おそらく彼の正確さを示す最も素晴らしい例は、去年の12月に4-1でトッテナム・ホットスパーを破った試合で見せた、右サイドのカイル・ウォーカーへ出したボレーパスだろう。リスクと報酬の比率は高かった。リスクは自陣で相手にスローインを与えてしまうことであり、報酬はウィングの位置にいるチームメイトにパスを送れることだった。

 アリソンは率直に言えば、より伝統的なブラジルのゴールキーパーだ。彼はエデルソンと同じくらい素早く、反射神経は彼よりもいい。しかし“痛いところ”に頭を置くことには、それほど熱心ではない。この特定の側面において、彼はより計算をしているがそのほかの部分では、彼は夢想家だ。

 彼は、もしも他のポジションを選ばなければいけないとすれば、ストライカーを選ぶと、ローマの公式サイトに語った。そして今シーズン頻繁に、単純さよりも華麗さの方を選んでいる。彼は相手のストライカーを定期的に誘い出し、ボールをフリックするか、不必要に複雑なヒールパスで、近くのチームメイトにボールを渡す。彼にはサンバのスタイルが染みついている。

 ブラジルはロシアワールドカップに向けて、難しい判断を迫られている。先発ゴールキーパーとしてアリソンを起用するのか、それともエデルソンを選ぶのか。しかし難しい決断をしなければいけない、事実そのものが贅沢である。何年もの間、ブラジルのシュートストッパーは無視されてきた。この夏、彼らはこの道をけん引するだろう。

著者:Blair Newman

イタリアとスコットランドのサッカーを専門とするフリーランスライター。『Tifo Football』などに寄稿している。

Twitter: @TheBlairNewman

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