代表チーム ブラジル代表

アリソンとエデルソン。世界をけん引するブラジル代表の2人のGK

著者:Blair Newman(翻訳者:土屋一平)

 『サッカー・イン・サン・アンド・シャドウ』(1995)で、著者のエドゥアルド・ガレアーノはゴールキーパーについて美しい章を設けた。その中で彼は「彼(ゴールキーパー)は孤独だ。はるか遠くから試合を眺めることを運命づけられている。ゴールから離れることはなく、彼の唯一の居場所は2本のポストとクロスバーの間だけだ」この章が書かれてから、状況は変化したが。

 現代のゴールキーパーはゴールを守るだけではない。むしろ彼らは、ゴールとディフェンスラインの間に存在する、すべてのスペースを守っている。そして多くのチームにおいて、それは埋めるべき目立ったスペースである。この役割を果たすには、以前はそれほど重要でなかったスキルが必要になる。つまりボールを落ち着かせ、スピードを落として、ボールに対するゆるぎない意識を持つことだ。

 これらのスキルは戦術的な進歩に従って、ますます必要不可欠になってきている。「進歩」という言葉は、ここでは文字通りの意味で使われていて、以前より多くのチームがピッチの高い位置で守備をしており、特定のチームはこれまで見たことがないような高さにまで達している。これは相手ゴールの近くでボールを獲り返すためであり、また相手に主導権を握らせないためでもある。このようなプレッシングは、フォワードの選手だけでは実行できない。彼らの後ろに控える、ミッドフィールダー、ディフェンダー、そしてもちろんゴールキーパーがサポートすることで、真の効果を発揮する。

 それゆえスイーパー・キーパーが存在するのだ。当初はマヌエル・ノイアーがいるドイツが、この新たな役割の牽引者だった。ノイアーはペナルティエリア外に出ていく意欲と能力を、世界的に称賛された初めての選手だ。彼の後継者であるマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンも同様に積極的であり、おそらくノイアーよりも安全だ。しかし昨年、ブラジルがドイツに肩を並べたようだ。

 長い間、ゴールキーパーはブラジルが占める最も危険なポジションだった。モアシール・バルボーサは、1950年のワールドカップでセレソンのゴールを守っていた以上に、このことを知っていた。ウルグアイに敗れたショッキングな決勝戦におけるミスは、自国で優勝できなかったことに対する大きな責任を負ったことを意味し、生涯その負担を背負うことを強いられた。

 バルボーサの後でさえ、長い間ブラジルのサッカーはほとんど唯一、最上級のスキルを持ったフィールドプレーヤーと関連していた。最高に優雅なプレーメーカー、目がくらむようなドリブルをするウィンガー、そして爆発的なフィニッシャーは、過去数十年における国の主要な輸出品だった。彼らのシュートストッパーは補足に過ぎなかったのだ。しかし今は違う。彼らのシュートストッパーはエリートだ。

 昨年の夏に、この変更をしっかりと稼働させるための2つの変化が起こった。6月1日、マンチェスター・シティはエデルソン・モラレスとサインすることを認め、その過程で先発ゴールキーパーを探す旅に終止符を打った。その1ヶ月後、ボイチェフ・シュチェスニーがユベントスに去ったローマは、アリソン・ベッカーをスターティングラインナップに加えた。

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