前半の浦和はボールを奪うと素早く相手の高い最終ラインの裏を狙い、主に興梠または武富を走らせた。スペースがある分普段よりも前線に閉塞感はなかったが、ここでの攻防で横浜FMが巧みなラインコントロールによって上回ったことは、前半だけで5回を数えたオフサイドの数が証明している。ちなみに広大な守備範囲でロングボールにも対応したGK飯倉大樹のボールタッチ数(53回)は、この試合の浦和のどの選手よりも多い。
そして時間を掛けずに相手の背後を狙う意識が強すぎるために、本来持ち味であったはずのビルドアップは影を潜めた。その状況を反映しているのが、パス数だ。開幕戦のFC東京戦では658本だったが、横浜FM戦では僅かに332本に半減している。
さらに後半だけに限ればその数は149本で、横浜FMにアンジェ・ポステコグルー監督のポゼッションを重視する戦術が浸透しつつあるとはいえ、相手(316本)の半分にも満たない数字である。ミハイロ・ペトロビッチ監督の下で、必ずしも効率的ではないにしろ常にボールを支配し相手を押し込むサッカーを展開していたチームの姿は、もはやそこにはなかった。
堀監督は試合後に「途中から運動量が落ちた」と後半のパフォーマンス低下の理由を挙げていたが、試合中にチームのバランスを立て直すことができなかったのも事実だ。本来チームの心臓であるべき柏木陽介は後半途中からポジションを上げているが、結果としてプレーに関与する場面は限られ存在感が消えている。後半のパス本数は僅か13本で、試合を通してのボールタッチ数も43回に留まった(FC東京戦では70回)。
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