攻撃面で目立ったのは、駒井と三好康児を中心とした右サイドだった。攻撃時のデュエル数を見ると三好が14回、駒井が10回を記録しており、セレッソで最多のソウザ(6回)を大きく上回っている。さらにチャナティップも7回の攻撃デュエルに全勝しており、彼らの積極的な仕掛けは相手守備陣を大いに手こずらせた。この試合を見る限り、札幌の攻撃は緻密なショートパスの連続よりも、くせ者ぞろいのアタッカーによるドリブル突破に比重が置かれている。
フィールド上のドリブルの分布を見ても、実際に右サイドに大きく偏っているのが分かる。浦和でペトロヴィッチ監督の指導を受けた駒井と比べ、左サイドの菅大輝が戦術理解で劣るのは致し方ないと言えるだろう。それでも47分には三好からのロングボールを受けてチャンスを演出、73分には決定的なシュートを放つなど、今後システムに馴染むにつれてより効果的に攻撃に絡んでいける可能性を示している。
特に47分の攻撃は、監督のスタイルが着実にチームに浸透していることを示すものだった。三好がフィールド中央でボールをキープすると、前線左サイドを駆け上がった菅に対角線のロングパスを送る。カットインした菅は中央にボールを送り、兵藤が逆サイドでフリーになった駒井へディフェンスラインの裏を突くパスを狙った。惜しくも最後のパスは合わなかったが、ウイングバックへのロングボールから最後はスペースの空いた逆サイドを活用する展開は、まさにペトロヴィッチ監督の志向するサッカーを体現していた。
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