プレミアリーグ トッテナム

プレミア勢はCLで苦戦する理由。欧州で停滞する“最もエンターテイメントなリーグ”

著者:ニール・ハンフリーズ

 プレミアリーグ2016/2017も終わりを告げたが、歴史に残るような大きなインパクトを残したシーズンではなかっただろう。もし今シーズンのプレミアリーグが予想に反するものであったとするならば、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)での結果もそれを象徴するものではあったのではないだろうか。統計的にみても、イングリッシュフットボールは停滞し衰退さえしているように思えてしまう。

 前回チェルシーがプレミアリーグ王者となった2012年からプレミアリーグのクラブがCL準決勝進出するチャンスは20回あったが、実際に準決勝までたどり着いたのは2回だけである。ことごとく準々決勝で敗れているということだ。同大会でイングランドのクラブが苦しむ一方で、イタリア、スペイン、ドイツのクラブは好成績を残し続けている。何が原因なのだろうか。

 理由は様々だが、明らかなことはプレミアリーグにはウインターブレイクが存在しないということである。好成績を残しているスペイン、イタリア、ドイツといったヨーロッパの主要リーグには冬の中断期間が存在する。つまり、ヨーロッパで最も寒い時期に4試合もしくは5試合分の休養をすることが可能なのだ。

 イングランドは全くその逆である。ボクシング・デーから元日までのクリスマス期間中には、非常にタイトなスケジュールで、タフな対戦相手との試合が控えている。プレミアリーグとリーガでプレーした経験のあるレアル・マドリードのFWガレス・ベイルはウインターブレイクの有無が大きな差を生み出すと話している。前所属トッテナムではクリスマス期間中に疲れ切ってしまっていたという。スペインでプレーする現在は同期間中に残りシーズンを戦うために休養することが可能だ。実際にレアル・マドリードのウインターブレイク明けのパフォーマンスは見違えるほど素晴らしかった。これがヨーロッパの舞台で好成績を残している理由である。

 さらに、イタリア、スペイン、ドイツ国内リーグではクラブ間に大きな差が生じている。ベイルが言うように、スペインでは前半終了の時点で2点リードしていることも頻繁に起こり、特にレアル・マドリード、バルセロナ、他国のバイエルン・ミュンヘン、モナコ、パリ・サンジェルマンといったクラブは前半で試合を決定づけてしまうこともある。それほどまでにクラブ間には大きなギャップがあるのだ。他国のビッグクラブは後半からペースを落とすことも可能だが、プレミアリーグではまず無理だろう。

 以前はリバプール、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルら「ビッグ4」と呼ばれるクラブが存在していた。これら4クラブは毎年ヨーロッパの舞台に登場し、とりわけ2000年代前半には好成績を残していた。しかしながら、マンチェスター・シティとトッテナムの台頭とともにCL出場権を6クラブで争うためにより多くの投資も必要となっている。つまり、彼らは常にトップパフォーマンスで試合に臨まなければならないのだ。CL出場権を目指し、より長く厳しいタフなシーズンが強いられている。今シーズンに関してはリバプールが4位を確定させる最終節までその戦いは続いた。最終節の後半開始まで、アーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティが出場権を争うこととなった。それほどにまで厳しい戦いが繰り広げられているのである。

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