女子サッカー

完勝の浦和レッズレディース。猶本光が語った世界レベル守備の極意【皇后杯】

三菱重工浦和レッズレディース MF猶本光 写真:Getty Images

皇后杯JFA第45回全日本女子サッカー選手権大会準々決勝の全4試合のうち2試合が、カンセキスタジアムとちぎにて行われた。同会場での第2試合で、三菱重工浦和レッズレディースとジェフユナイテッド市原・千葉レディースが対戦。最終スコア2-0で浦和が勝利している。

2023/24シーズンのWEリーグで2位につけている浦和が、同リーグ現7位の千葉を相手に順当に勝利したこの試合。2022/23シーズンのWEリーグとWEリーグカップを制し、今2023/24シーズンもタイトル獲得の可能性を残す浦和の成熟が窺える一戦でもあった。

今回の皇后杯準々決勝における、浦和の最大の勝因は何だったのか。ここでは同試合を振り返るとともに、浦和の安藤梢と猶本光の両MFの試合後コメントを紹介。そのうえで同クラブの勝因や戦いぶりを論評する。


浦和レッズレディースvsジェフユナイテッド市原・千葉レディース、先発メンバー

守備でリズムを掴んだ浦和

キックオフ直後の千葉のサイド攻撃を凌いだ浦和は、前線の選手を起点とする鋭い守備で、試合の主導権を手繰り寄せる。

[4-2-3-1]の基本布陣でこの試合に臨んだ浦和は、トップ下の猶本が守備時に前線へ上がり、[4-4-2]の隊形に移行。FW菅澤優衣香と猶本の2トップで、千葉の2センターバックによる縦パスを封じたほか、同クラブMF岸川奈津希へのパスコースも遮断。相手のパス回しをタッチライン際へ追いやったうえで、ハイプレスを仕掛けていた。

この浦和の組織的な守備が功を奏し、千葉のGKや最終ラインからのパス回しは手詰まりに。千葉は[4-4-2]の守備隊形から岸川、小林ひなた、城和怜奈のMF陣、及びFW登録の大澤春花と小川由姫が目まぐるしく立ち位置を変えて攻撃を仕掛けたが、浦和を混乱させるには至らなかった。


ジェフユナイテッド市原・千葉レディース DF藤代真帆 写真:Getty Images

千葉はサイドバックの立ち位置を修正できず

千葉が浦和のハイプレスを掻い潜れなかった最大の原因は、田中真理子と藤代真帆の両DF(両サイドバック)の立ち位置にある。

千葉はGKや最終ラインからパスを回すとき、サイドバックが自陣後方のタッチライン際、且つ相手サイドハーフの手前に立ってしまう場面がしばしば。この位置でボールを受けたサイドバックが、浦和のサイドハーフのプレスをもろに浴びる形となり、効果的な配球ができなかった。

また、同じく自陣からパスを回す際に2センターバック(蓮輪真琴と林香奈絵の両DF)が横に開きすぎることで、サイドバックとタッチライン際で同居してしまう場面も。浦和としては、この縦のパスコースを塞ぎさえすれば、千葉の攻撃を抑えることができた。

今回の試合は、これらの千葉の攻撃配置の不備を突いた浦和の作戦勝ちと言える。安藤梢と清家貴子の両MF(浦和の両サイドハーフ)による、相手サイドバックへの寄せも鋭かった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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