2022シーズン明治安田生命J1リーグ、アビスパ福岡は昨年の8位を超える順位を目指してスタート。開幕から5試合目でようやくリーグ戦初勝利を挙げた。
3月19日、パナソニックスタジアム吹田でガンバ大阪に挑んだ第5節、スコアは3-2で福岡が勝利。90分のうち81分間はほぼ試合を支配し、選手交代や試合の終わらせ方に大きな課題はみられたものの、昨年以上の強度をみせた一戦となった。
一方、第3節の北海道コンサドーレ札幌戦は0-0の引き分け、第4節の柏レイソル戦では0-1で敗戦している福岡。特に柏戦では、ボール支配率で上回りシュート数で圧倒したものの、縦に速い攻撃を浴びて失点し無得点のまま敗れている。
福岡にとって、第4節の柏戦と第5節のG大阪戦で大きく異なっていたのは、とあるポジションの「強度」だ。2試合を比較することで、長谷部茂利監督率いるアビスパ福岡の強さの秘訣がみえてくる。
堅守を支える重要なポジション
長谷部監督(2020-)率いるアビスパ福岡は、リーグ屈指のネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)を持つ。全員攻撃、全員守備が求められるため全てのポジションが重要と言ってしまえばそれまでだが、その中でも特に重要なポジションが存在する。
よく語られるのは、おもにチームのキャプテンである前寛之と中村駿が形成するDH(ディフェンシブハーフ)だ。セカンドボールを拾って展開する能力に優れ、ピンチを予測しカバーに入ることにも長けている2人の活躍がチームに安定をもたらしている。
だが、ここで注目するのはDHに勝らずとも劣らないポジション、長谷部監督が志向するサッカーを実現するために極めて重要なCB(センターバック)である。
順位こそ現時点リーグ9位の福岡は、5試合を終え1試合当たりの被シュート数は6.4とリーグ最少。この堅守の根幹にはフォアチェック(前線からの守備)とリトリート(自陣に下がっての守備)の併用がある。そしてフォアチェックの際には相手の2トップに対して2人のCBで対応し、絶対に負けないという鉄則が存在している。
具体的には相手が縦パスを狙い、FWが後ろを向いてパスを受けようとした瞬間に必ずCBが強く寄せる。前を向かせないための寄せではなく、奪うための寄せだ。
2トップに2人のCBで付くということは数的同数であり、突破されると大きなピンチになるリスクを負う。ファウルとなってしまうこともある。しかしこういった場面で相手FWを自由にするケースはほぼ見られない。
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