新型コロナウイルスの拡大によって、世界中の多くのサッカークラブも経済的に苦しい時期を迎えている。
セリエAの10クラブは非常に厳しい状態で、プレミアリーグのバーンリーは夏の終わりまで生き残れるかどうかわからない状況だ。
もしウイルスの次なる影響によって、サッカー界が再びリーグ延期や無観客試合を迎えることになる場合、間違いなく倒産してしまうクラブは現れるだろう。
カルチョメルカート(移籍期間)が始まろうとしているものの、クラブの予算は以前と比べて激減している。チームの強化はどのように行われるだろうか?これまでと異なるポイントとして、下記のような流れが考えられる。
スカウティングはより重要に
まずは、予算を持っているクラブが以前より権力を持つこととなるだろう。獲得したい選手にふさわしいオファーを出せることだけでも今の状況下では大きな武器となる。
予算がない多くクラブは知恵を使い、新たな選手の獲得方法を考えなければならない。
従って、スカウティングが以前よりも重要になると思われる。多くの選手データを分析し、自分のチームに最も必要なアスリートを他のクラブよりも早く手に入れることが、次のマーケットの大事なポイントになるだろう。
新型コロナウイルス拡大前の移籍期間では、スカウトする選手に最も重きを置かれたのが「将来性」だった。しかし現在、多くのクラブは将来のことより、今のことを考えるしか余裕がない。次のシーズンを安全に迎えるための「新戦力」を求めているはずだ。
つまり、これからの移籍期間に関するスカウティングは、選手の将来性やポテンシャルより、スタミナ、スピードなど、試合にすぐに役立つ体力的なデータを中心に行われる可能性が高いだろう。
サッカー教育の強化
スカウティング方法の変化と同時に、クラブはユース選手に以前より注目することとなるだろう。そして、クラブの全体的なレベルをあげるため、アカデミーのコーチングスタッフを強化することに力を入れるはずだ。
スペインとフランスではすでに若手に頼るクラブが多い。毎年ラ・リーガ、リーグ・アンでデビューする選手の50%以上は国内ユースチームから選ばれている。一方、他の多くの国ではこの仕組みが未だに成立していない。例えば、イタリアのセリエAでは直近3シーズン中にユースを卒業し、トップクラブでデビューした選手はわずかの24%だった。
しかし、イタリアにもサッカーアカデミーの教育で注目を浴びているチームがある。それはアタランタだ。
アタランタは10年ほど前からU-10以上のチーム教育に力を入れ、その結果は今現れつつある。現在このクラブは、インテル、ラツィオ 、ミラン、ローマなどのビッグクラブを上回り、セリエAランキング2位。そして、チャンピオンズリーグの準々決勝まで残り、8月13日(日本時間)にフランスの王者パリ・サンジェルマン(PSG)と対戦するほど力をつけている。
これからアタランタは、全てのヨーロッパのクラブにとって脅威の存在となるだろう。
選手間トレードでクラブが助け合う
新型コロナウイルスから生まれたこの深刻な状況は、少なからず全ての世界のクラブに悪い影響をもたらしている。
今年の夏の移籍市場ではトレード(複数のチームがお互いの所属選手の保有権を交換すること、あるいは保有権と金銭などを交換すること)がとても有効になると思われる。
必要とされていない選手に年俸を支払っているクラブ、チームを強化したいが移籍金にかける予算がないクラブ。トレード形式であれば、チーム同士でお互いの問題を解決しながら、助け合うことができるのだ。
すでに話題となっているのは、バルセロナとインテル間のトレードだ。ブラウグラナ(バルセロナの愛称)は数ヶ月前からインテルのFWラウタロ・マルティネスに興味を示している。そして、MFイバン・ラキティッチ、DFジャン=クレール・トディボ、MFアルトゥーロ・ビダルなどをこの取引のオプションとしてインテルに差し出すことを検討していると言われている。
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