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国立競技場が『MUFGスタジアム』に。100億円命名権の真の狙い

MUFGスタジアム(国立競技場)写真:アフロスポーツ

狙い3:『スタナカ』が変える、スタジアムグルメの常識

2026年3月にリニューアル工事が完了し、場内既存32店舗の飲食を全て入れ替え。ミシュラン掲載店や予約困難な人気店に加え、おなじみのチェーン店もラインナップされている。イベントがない日でも食事利用できる体制を整えた「スタナカ」は、デパ地下やエキナカの発想をスタジアムに持ち込んだ新コンセプトだ。また富裕層・法人向けには全53室のスイートルーム「LIMINAL SUITE」を設置し、年間契約による接待・懇親会需要も取り込む。

チェーン店も揃えることが示唆するのはターゲットの拡大だ。従来のスポーツファンだけでなく、食そのものを目的とするライト層や、日本の食文化を求めるインバウンド客をスタジアムという巨大な器に吸い込む戦略が見え隠れする。日本代表戦でカップラーメン一択だった時代を知るファンにとっては、隔世の感があるだろう。


狙い4:スポーツの聖地を、社会課題解決の拠点に

MUFGは国立競技場を「スポーツの聖地」から「社会貢献のプラットフォーム」へ進化させることを目指す。次世代育成、環境保全、文化交流、地域連携を柱に、JNSEとともに「公共性を守りながら、社会課題解決や地域活性化に寄与する」活動を展開。音楽イベントや多様なスポーツを通じた感動の共有、次世代へのレガシー継承など、短期的な宣伝ではなく長期的なブランド信頼と社会貢献の積み重ねを狙う。


100億円は広告費か、インフラへの投資か

100億円規模の投資を単なる広告費と捉えるか、社会的インフラへの長期投資と捉えるか。MUFGは後者を選んだ。社員の行動変容、共創による新価値、社会課題への貢献が連動し、パーパスを実体化させるこの戦略は、日本の大企業が命名権をどう使うかの新たな基準となるかもしれない。「KOKURITSU NEXTプロジェクト」の行方とともに、国立競技場がMUFGにとって「世界が進むチカラ」を証明する場となるか、注目が集まる。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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