
2025年夏もJリーグの移籍マーケットは活発だった。8月24日に夏の移籍登録期間が終了したものの、J1を除くJ2以下のカテゴリーでは「育成型期限付き移籍」に限り9月12日まで追加登録が可能となっている。このため、引き続き下部リーグの移籍市場に注目が集まっている。
育成型期限付き移籍は、若手選手の出場機会を確保する目的で2013年に導入された制度だ。プロ入り後数年間、出場機会に恵まれない選手が少なくない現状を背景に、Jリーグの若手育成プロジェクトの一環として制度化された。
対象は23歳以下の日本国籍を有する選手。移籍先は必ず移籍元より下位リーグのクラブでなければならず、契約の途中解約についても移籍元、移籍先、そして選手本人の三者合意があらかじめ必要となる。
ここでは、これらの条件を満たし、今夏に育成型期限付き移籍が実現しそうな注目の若手4選手を紹介する。

桑山侃士(町田ゼルビア)
2024シーズンは特別指定選手として公式戦8試合に出場し、今シーズンから町田ゼルビアでプロキャリアをスタートさせたFW桑山侃士。
184cm・80kgという恵まれた体格を活かしたポストプレーでサイドに流れてパスを引き出せる他、相手DFを背負いながらフィニッシュまで持っていける強引さが持ち味だ。
その特徴が際立ったのが、今シーズン第5節の横浜FC戦(2-0)だ。後半6分、町田GK谷晃生のロングキックに競り勝って攻撃の起点となるとそのままゴール前へ侵入。MF前寛之からの低いクロスに反応し、ペナルティエリア中央で冷静に右足を振り抜いて決勝点を叩き込んだ。
プロ1年目ながら16試合に出場し、1ゴール1アシストを記録。レギュラー陣を脅かす存在として期待されていたが、5月31日の第19節横浜F・マリノス戦(0-3)を最後にリーグ戦から遠ざかっている。
ロングボールやロングスローを多用するJ2・J3クラブにとって、前線で起点を作れる桑山はまさに即戦力。真っ先に獲得へ動くべき人材だろう。

根本健太(浦和レッズ)
流通経済大学から今シーズン、浦和レッズでプロキャリアをスタートさせたDF根本健太。大学時代は、粘り強い守備と的確なポジショニングに加え、足元の技術も兼ね備えた実力派センターバック(CB)として活躍。関東のJクラブ10チームが争奪戦を繰り広げる中、大学4年時に浦和への加入が内定した。
プロ1年目の今シーズンはリーグ戦1試合、カップ戦1試合の出場に留まっているが、9月3日に行われたカップ戦・川崎フロンターレ戦(1-1)でのパフォーマンスは圧巻だった。左サイドバック(SB)で出場した根本は、対人守備で強さを発揮し、左足からの正確なロングパスを幾度も成功させるなどピッチ上で存在感を放った。加えて、無難で安定したプレー選択を続ける姿からは、将来性の高さが感じられた。
CBの層を厚くしたいクラブにとって、十分に魅力的な人材といえるだろう。
コメントランキング