Jリーグ ファジアーノ岡山

新スタ建設へ追い風?DBJがファジアーノ岡山の経済効果を評価した意味

ファジアーノ岡山 写真:Getty Images

今2025シーズンJ1リーグに初参入し、望外の大健闘を見せているファジアーノ岡山。第10節終了時点で5勝2分け3敗の4位と快進撃を続けている。特にホームで強く、今季はこれまで4勝2分けと負けなし。J2時代の2010シーズン以来のサンフレッチェ広島との中国ダービー(4月12日/エディオンピースウイング広島)でも1-0で勝利を収め、その勢いが本物であることを印象付けた。

そんな中3月26日付で、日本政策投資銀行(DBJ)岡山事務所が「ファジアーノ岡山のJ1昇格に伴う経済波及効果」というレポートを発行。岡山が地元にもたらす経済効果が年間54億円で、J2時代と比べると23億円の増加と試算された。

しかし、DBJは「収益機会を逸している」とも指摘し、その理由としてスタジアムの収容人員の不足を挙げた。また、雇用の創出効果は402人で約1.8倍となっており、特に宿泊などの県内消費が期待できるアウェイ客の来場による寄与が大きいと分析している。

ここではDBJレポートの詳細とその意味を読みとく。


ファジアーノ岡山 写真:Getty Images

観客の消費は昨年の2倍以上

DBJのレポートによる経済効果の内訳は、観客による消費が27億2,000万円(J2時代13億円)、クラブ運営費が26億8,000万円(同17億7,000万円)。観客の消費はスタジアム内外での飲食や物販、アウェイサポーターの移動費や宿泊費などで、クラブ運営費は選手やスタッフへの人件費などだ。

最も経済波及効果を押し上げた要因は「観客の増加」が挙げられている。J2だった昨年のホームの平均観客数は約9,100人だったのに対し、J1を戦う今2025シーズンは毎試合チケットは完売し、平均約1万4,000人が観戦。「収益機会を逸している」理由は「スタジアムの収容力不足」と結論付けられた。

岡山はホームゲームの度に盛り上がり、スタジアム外の飲食ブース「ファジフーズ」はアウェイサポーターからも好評だ。昨年の平均売り上げは約430万円だったが、今シーズンの平均は660万円。4月6日のFC東京戦では、場内売店も含め820万円と過去最高の売上を記録した。

ホームであるJFE晴れの国スタジアムのキャパシティは1万5,500人。現地ではチケットがプラチナ化し、争奪戦が繰り広げられているだけではなく、アウェイ席も販売開始数分で売り切れるフィーバーぶりだ。昨シーズンのJ1クラブの平均観客数約2万300人で試算すると、経済効果はさらに約7億円増加するという試算を示した上で、DBJは「経済効果の観点からは、新スタジアムの建設を援護する立場だ」とした。

加えて「ファジアーノ岡山は経済効果だけでなく、地域の一体感やスポーツ文化の振興、岡山のイメージアップなどの社会的価値も大きい」と評価されている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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