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元人気Jリーガーが判定基準の変更説明。審判委員会の問題点とは

小林祐三氏 写真:Getty Images

Jリーグは4月4日、メディアブリーフィングを実施し、この中で、今2025シーズン混乱を生んでいるレフェリーの判定基準を巡って「誤解があった」と謝罪した。

この場でメディア対応をしたのは企画戦略ダイレクターの小林祐三氏と、Jリーグのフットボール担当執行役員を務める樋口順也氏で、ここでは他にもJリーグのU-21リーグを2026-27シーズンにメドに発足させるかどうかの進捗状況を説明するなど重要な話し合いがなされている。

しかし、なぜ判定基準に関する見解を説明する役割を任されたのが小林氏だったのか。3月18日のレフェリーブリーフィングに出席した扇谷健司審判委員長(兼JFA理事)と佐藤隆治審判マネジャーも同席し、説明責任を果たす必要があったのではないか。

ここでは、レフェリーの判定基準の問題に直面した審判委員会の対応の是非について、そのプロセスの瑕疵を考察したい。

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佐藤隆治氏(左)扇谷健司氏(右)写真:Getty Images

判定基準に関するこれまでの流れ

今季開幕直前の2月、Jリーグチェアマンの野々村芳和氏が、プレー強度の向上とAPT(アクチュアルプレーイングタイム)を増やすことを目指し、激しい接触があってもファウルでなければプレー続行を促す方針を示した。

しかしながら、突然ともいえる方針変更は現場の混乱を生み「APTを伸ばすために判定の基準が変わった」と受け止められ、サポーターや実況アナに加え、実際にプレーする選手や監督からも疑問の声が上がっていた。

3月18日に行われたレフェリーブリーフィングで、扇谷氏は「APTを伸ばすために、何か判定基準を変えたというのは一つもございません」と説明。判定基準の曖昧さによる混乱は続いた。

そして今回4日のメディアブリーフィングで、小林氏が「こちらからの説明不足により、今季のレフェリングやピッチ上の改革について、みなさんに誤解を与える表現があった。おわび申し上げます」と改めて指針を示し謝罪している。

小林氏は、世界水準と魅力的なエンターテインメントを目指していくとし、「そのためにボディーコンタクトを許容する。もう1つがAPTを伸ばす」と強調。レフェリング面の改革を達成するために「判定基準を上げる」「適切なアドバンテージを取る」「素早いリスタートを促し試合を過剰に止めない」と3つの改革点を挙げた。

特に問題とされていた「判定基準を上げる」点について小林氏は、レッドカード、イエローカードの基準はこれまでと変わらないと強調した上で、「昨年までのレフェリングの標準だと『確かに接触があるが、それは取らなくてもよくないですか』っていったものが私の現役時代の経験も含めて多々ありました。そういったものは流してプレーを続けさせましょう。それがいわゆる『判定の標準を上げる』という言葉の意味です」と説明した。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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