
湘南のボール保持を安定させたのは
湘南の攻撃にアクセントを加えたのは、平岡とともにインサイドハーフを務める小野瀬。相手の中盤選手の斜め後ろから顔を出し、味方センターバックのパスを受け取る動きが秀逸だった。
湘南が最終ラインからパスを回した、前半8分のシーンがこの典型例。ここでは浦和MFマテウス・サヴィオの斜め後ろに小野瀬が突如現れ、味方MF鈴木雄斗(センターバック)の縦パスを受け取っている。中盤の底を務めたMF奥野耕平が浦和MF松本泰志(トップ下)に監視され続けるなかで、小野瀬が湘南のパスワークに躍動感をもたらしていた。
この直後にはFW鈴木章斗が中盤へ降り、浦和MF金子拓郎と関根の斜め後ろでパスレシーブ。味方センターバックやウイングバックを孤立させないためのサポートを、小野瀬と平岡の2インサイドハーフや福田と鈴木章斗の2トップができている。これが湘南の開幕3連勝の要因だ。

浦和は守備の統率がとれず
湘南が明確なコンセプトのもとで試合を進めた一方で、浦和は漫然とした守備でホームチームのパス回しを止められず。FWチアゴ・サンタナ、サヴィオ、松本の3人が湘南最終ラインの前に立ち、中盤の底を務める奥野や最終ラインから中盤へ上がるDFキム・ミンテ(センターバック)へのパスコースを塞ぐという意図は窺えたが、湘南最終ラインへのプレスが緩かったためボールを敵陣で奪えない展開が続く。サンタナ、サヴィオ、松本、金子が湘南センターバックに適宜プレスをかけていたが、これに浦和の2ボランチ(グスタフソンとMF安居海渡)が連動せず後方に留まったため、湘南の2インサイドハーフや中盤へ降りた福田と鈴木章斗の両FWがフリーになっていた。
ハイプレスを仕掛けるのであれば、最前線のサンタナや両サイドハーフに連動する形で、ボランチも加わる。これができないのであれば、[4-4-2]の撤退守備に専念する。浦和陣営にはこのどちらかの選択が必要だったが、試合序盤にどっちつかずの守備をしたことで湘南にゲームを掌握された。守備戦術の不徹底が、今回の敗戦に繋がったのは間違いない。

浦和のクロス対応を攻略
撤退守備へ移行し始めた浦和に対し、湘南が攻勢を強める。ホームチームは小気味良いパスワークで、浦和のクロス対応を攻略した。
迎えた前半26分、敵陣左サイドへ流れた小野瀬から逆サイドのMF藤井智也(湘南ウイングバック)へのロングパスが繋がり、藤井が自身の後方に立っていた鈴木雄斗へボールを渡す。この直後に繰り出された鈴木雄斗のワンタッチクロスに福田が合わせ、先制ゴールを挙げた。
この場面ではペナルティエリア内にいた浦和の選手たちが、マークすべき相手選手とクロスボールを同一視野に収めるような立ち位置や体の向きを整えられず。また、ペナルティエリア中央へ侵入した湘南ウイングバックの畑にホイブラーテンとボザの両センターバックが反応したため、大外に立っていた福田がフリーになった。
ゴールエリア付近に畑、鈴木章斗、福田の3選手を送り込んだ湘南の攻撃は素晴らしかったが、浦和としては畑にホイブラーテン、鈴木章斗にボザ、福田に関根が付く構図を作りたかったところ。失点シーン以外にも、クロス対応時にホイブラーテンとボザの2センターバック間に湘南の選手が立っているシチュエーションがあったため、浦和は自陣ゴール前の守備原則を見直す必要があるだろう。
後半4分には、小野瀬のコーナーキックに鈴木章斗がヘディングで合わせ、湘南に追加点をもたらす。同17分に松本が送ったマイナス(ゴールから離れていく軌道)のクロスに対応しきれず、サンタナに1点差に詰め寄るゴールを奪われるも、湘南は試合終盤に[5-4-1]の隊形へ移行。C大阪戦と同じく撤退守備で、浦和の猛攻を凌ぎきった。
2023シーズンと昨シーズン序盤に極度の成績不振に陥ったものの、湘南は長きにわたる試行錯誤を経て成長している。昨夏以降の成長度合いは、J1全クラブ中トップと言って差し支えない。この進化がシーズン終盤まで続くことを願うばかりだ。
(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。
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