Jリーグ 湘南ベルマーレ

設計が甘すぎる湘南ベルマーレのビルドアップ。敗北のG大阪戦を検証

鈴木雄斗 写真:Getty Images

後半の追撃も及ばず

幸いなことに、今回のG大阪戦ではDF岡本拓也と杉岡の両ウイングバックが自陣後方へ降りてビルドアップに関わるケースが少なかったため、湘南のサイド攻撃は分厚いものに。鈴木淳之介をはじめとするセンターバック陣の攻め上がりも旺盛で、ホームチームはサイドからいくつかチャンスを作ったが、ラストパスやクロスの精度が足りず。同点ゴールには至らなかった。

1点ビハインドで迎えた後半17分、湘南は一瞬の守備の綻びをG大阪に突かれることに。アウェイチームDF中谷進之介が自陣からロングパスを繰り出すと、これが敵陣の山下のもとへ。このボールを湘南DF杉岡がかろうじて弾き返したものの、こぼれ球を宇佐美が回収。宇佐美のラストパスに反応した山下が敵陣ペナルティエリアで杉岡に倒されたことで、G大阪にPKが与えられた。

相手ウイングバック(サイドバック)の背後へロングパスを送れば、センターバック背後へのパスと比べ相手GKが飛び出し難く、相手チームにボールを回収されても速攻を浴びにくい。また、相手ウイングバックの体の向きを変え、楽な体勢でクリアできないようなロングパスであれば、弾き返されたボールを回収しやすい。これらの点において中谷のロングパスは有効で、湘南はこの攻撃への備えができていなかった。

最終ラインが不揃いで、杉岡が跳ね返したボールへの反応も鈍かった湘南は、先述の通りPKのピンチを迎える。キッカーを務めた宇佐美に、これを物にされた。

途中出場のFWルキアンが後半33分にコーナーキックからゴールを挙げたものの、湘南の反撃もここまで。ビルドアップや守備の詰めの甘さを露呈したホームチームが、手痛い連敗を喫している。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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