数々の名場面が詰まったベンチ
ウェンブリー・スタジアムチームは、ユニークなアイデアでピッチの人工芝から再生したプラスチックをベンチに変身させることに成功。1つのピッチから約50個のベンチが生まれる見通しだ。これはサッカーファンなら一度は座ってみたい代物だろう。なぜならそのベンチは、イングランド代表でバイエルン・ミュンヘン所属の名選手FWハリー・ケインやアーセナルのFWブカヨ・サカ、マンチェスター・シティのMFジャック・グリーリッシュなど、数多くの世界的な選手たちが駆け巡ったピッチによって作られているからだ。
同スタジアムのグラウンドマネージャーであるカール・スタンドリー氏によると、ベンチの設置先として地域の図書館や草の根サッカークラブが予定されているという。またベンチ以外の再生アイデアとしては「Slalom(スラローム)」と呼ばれるサッカーの練習に使用する棒状の道具や、円柱型のコーンに変身させる案も挙がっているそうだ。
どの程度の汎用性があるかまだ未知数だが、今後プラスチックの再生先には多くの選択肢が登場しそうだ。ひょっとしたら人工芝プラスチックがユニフォームの繊維として活用される日が来るかもしれない!
変革はスタジアムと専門家のコラボから
今後数年間でさらに変革を起こしてくれそうなウェンブリー・スタジアム。次に筆者が待ち望んでいるのが試合会場でのパッケージリサイクルだ。現在(2024年5月時点)同施設内にはレストランやバーを含む飲食スポットが688も存在しており、そこから発生するゴミの量は想像を絶する。そこで期待したいのがリサイクルピッチ同様、専門分野の研究組織とタッグを組んだ最新鋭の取り組みだ。
例えばロンドンのリサイクルパッケージ研究グループ『Notpla』では、2013年に海洋生素材として海藻を原料にした食べられるパッケージ「Ooho!(オーホ)」を開発し話題を呼んだ。これは液体を弾力性のある食用膜(Ooho)に閉じ込めることで持ち運びを可能にし、最終的にはOohoごと食べられるという画期的なもの。同団体と手を組めば、数年後にはビッグマッチを観戦しながらOohoに包まれたビールやサイダーをパクリと頬張るファンの姿が見られるかもしれない。
ウェンブリー・スタジアムが実現させた世界初「100%リサイクルピッチ」を皮切りに、筆者が思い描くパッケージリサイクルのアイデアを含め、各国のサッカースタジアムのさらなる取り組みに期待が高まる。ヨーロッパ諸国はもちろん、日本のスタジアムにとっても良い刺激となりそうだ。
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