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山根視来は川崎Fの生命線。鬼木監督称賛の理由は【ACL2023/24】

川崎フロンターレ 鬼木達監督 写真:Getty Images

鬼木監督「全員が山根から見習っていけば良い」

川崎Fの鬼木監督は試合後の記者会見で、この試合1ゴール1アシストと気を吐いた山根に関する質問に回答。同選手のポジショニングや守備を称えている。

ー(鬼木監督に)お伺いしたいのは、山根選手への評価です。攻撃面では自陣と敵陣を問わず、神出鬼没なポジショニングが光っているように見えました。守備の強度も高かったと思います。この試合の山根選手の評価や、今日に至るまでの成長はいかがでしょうか。

「非常に良い成長を遂げてくれていると思います。チームとしての狙いを、(山根)個人で出せるようになってきていますね。得点シーンでも他の場面でも、外(サイド)で仕事をしたり中(内側)で仕事をしたり。仰るように、ここ数試合で躍動してきていると思います」

「守備についても、彼の強度やボールへのアプローチの近さというのはチーム内で一番でしょう。彼ぐらいの強度で(他の選手も)守備ができると、チームとしてレベルアップできるかと思います」

「付け加えると、(守備に)行くことでボールをこぼしたり(奪いきれなかったり)、相手に抜かれたりすることも多少あります。でも、それはチームとしてカバーしていく、もしくは本人が奪いきることにフォーカスしていくところ(すべき部分)かと。まずはボールを獲りに行く。この姿勢を選手全員が(山根から)見習っていけば良いかなと思います」


川崎フロンターレ DF山根視来 写真:Getty Images

JDTを困らせた山根の立ち位置

鬼木監督が語った通り、サイドに立つべきか内側に絞るべきかの状況判断が終始的確だった山根。自身の前方でプレーする右ウイングFW家長との連係が淀みなく、同選手が敵陣の内側でプレーし、この外側に山根が立つという構図を円滑に作れている。家長と山根のプレーエリアが重なり、右サイドからの攻撃が停滞するシーンはほぼ無かった。

最終ラインからのパス回し(ビルドアップ)の際には、大南と山村の2センターバック間に山根が時折入ることで、[4-4-2]の守備隊形を敷いたJDTの2トップとの数的優位を確保。キックオフ直後に山根がこの立ち位置をとったことで、ハイプレスを繰り出そうとしていたJDTに迷いが生じたふしがある。派手なプレーではないが、この当意即妙なポジショニングが川崎Fの攻撃のアクセントになっていた。

前所属先の湘南ベルマーレでも、敵陣での自由自在なポジショニングは光っていたが、川崎F移籍後は相手の守備隊形やプレスのかけ方に応じて自陣での立ち位置を変える作業に磨きがかかっている。守備の場面における出足の鋭さや、ボール保持者へのアプローチの強度も今やチーム内屈指。山根が川崎Fの生命線であることは明らかであり、同クラブ加入4年目の彼の成長ぶりが際立った一戦だった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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