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賞金増額!英ルイスが取り組むジェンダー平等活動とオーナー制度

ルイスFC女子 写真:Getty Images

資金提供に留まらないオーナーの役割

ルイスが行っている前述のオーナーシップ制度は大きく4種類あり、タイプによって支払い額や特典が異なる。私が選択したのは、年間購入100ポンド(約1万9千円)または月額10ポンド(約1,900円)の「オーナープラス」というプランだ。

同クラブの公式サイトから申し込み可能で、登録完了後に正式なオーナー証明書が取得できる。ルイスの試合を視聴できる公式アプリをはじめ、グッズや試合チケットが割引購入できるなどの特典がある。そのほか、オーナー年次総会への参加権や取締役の選挙権、理事会への立候補権など、オーナーができること、すべきことが随時メールで届く。毎月平均10通ほどの通知があり、その中には一般的なメディアが報じているニュース以外に、オーナーへの限定情報なども配信される。

オーナーは資金提供の他にも、ホームスタジアムの補修作業や練習場の草刈りなどクラブの活動をサポートすることができる。試合当日にはスタジアム内のバーやチケット販売を手伝うことも可能だ。さらに、カメラマンなど専門的な広報スタッフが足りない場合には立候補することもできる。これらの情報は常時更新されるのだが、非常に人気で回転が早いため常に状況を確認する必要がある。12月には各オーナーによって選出された新役員が発表され、年次総会が行われる。


ルイスFC サポーター 写真:Getty Images

クラブと共にある地域の生活

実際にルイスの本拠地である地域を訪れた際、メインストリートや住宅が建ち並ぶエリアとクラブの敷地側とが綺麗に棲み分けされている構図に驚かされた。そのため、試合が無い日のスタジアム周辺は非常に静かである。イングランドのサッカースタジアムは、住宅街やメインストリートの傍にある場合が多く、ルイス地区のようにきっちりと区別されている構造は比較的珍しい。私が訪れた際にはちょうど地域のオーナーたちが、スタジアム周辺の草刈りを行っている最中であった。

滞在中、ルイスが地域に愛されていると感じる出来事があった。日本では、サッカークラブが存在する地域のメインストリートや商業施設にクラブを応援するポスターが貼られているのをよく目にする。しかし、ルイスの街ではそれがどこにも見当たらない。不思議に思い地域の人に訊ねると「宣伝なんかしなくても、いつもクラブ(ルイス)があることが普通」との答えが返って来た。試合日は知っていて当然。もちろんルイス市民の中には他クラブのファンも存在するが、大半のルイスファンにとって、日常の中にクラブが存在しているという感覚のようだ。

大都市にあるサッカークラブとは違う面も多々あるが、時代をリードするルイスの様々な取り組みは英国トップの影響力を持つともいえるのではないだろうか。地域住人にとっても世界中にいるオーナーたちにとっても、誇りとなる期待のサッカークラブであるのは間違いない。

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名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

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