なでしこジャパンことサッカー日本女子代表は8月11日、2023FIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド大会準々決勝でスウェーデン代表と対戦。最終スコア1-2で敗れ、準決勝進出を逃している。
2021年に行われた東京五輪と同じく、準々決勝でスウェーデン女子代表と相見えたなでしこジャパン。2年の時を経て成長した部分、そして来年のパリ五輪に向けて突き詰めるべき課題は何か。ここではスウェーデン代表との再戦を振り返りながら、この2点について解説したい。
日本女子代表vsスウェーデン女子代表:試合展開
前半32分、なでしこジャパンの陣地で得たフリーキックのこぼれ球をDFアマンダ・イレステットが押し込み、ゴールゲット。それまで膠着状態が続いていたが、スウェーデン代表がお得意のセットプレーで均衡を破った。
今大会で初めて相手に先制されたなでしこジャパンの池田太監督は、後半開始前にMF杉田妃和を下げ、MF遠藤純を投入。この交代を機に同代表は攻勢を強めたいところだったが、後半3分の相手コーナーキックからの混戦で、ペナルティエリア内にいたMF長野風花がハンドの反則をとられてしまう。これにより与えられたPKをスウェーデン代表MFフィリパ・アンイエルダールに物にされ、なでしこジャパンは苦境に陥った。
後半29分、途中出場のFW植木理子が敵陣ペナルティエリア内で相手FWマデレン・ヤノギーに倒される。この反則によって得たPKを植木自ら担当したが、シュートはクロスバーを直撃。同42分にMF清家貴子のクロスのこぼれ球をMF林穂之香が押し込んだものの、追撃のゴールが遅すぎた。
2年前と同じだったスウェーデンの戦術
基本布陣[4-2-3-1]のスウェーデン代表は、マイボール時にDFヨンナ・アンデション(左サイドバック)が高い位置をとり、4バックの残り3人で3バックを形成していた。
両サイドバックのどちらかに高い位置をとらせ、4バックの残り3人で3バックを形成し直すこのスウェーデン代表の隊形変化は、2年前のなでしこジャパンとの対戦でも見られたもの。東京五輪準々決勝では、2トップのなでしこジャパン(基本布陣[4-4-2])に対し、スウェーデン代表が自陣で3対2の数的優位を作っていた。
2年前のなでしこジャパンは、この数的不利を解消しないまま無闇にハイプレスを仕掛けたため、スウェーデン代表の最終ラインからのパス回しを止めきれず。戦術面での準備不足が災いし、最終スコア1-3で敗れている。
同じ失敗を繰り返さなかったなでしこ
東京五輪での惨敗から一転、なでしこジャパンは今回のW杯で実現した再戦で、スウェーデン代表の変則的な3バックに惑わされなかった。
東京五輪後に就任した池田監督の指導により、守備戦術が磨かれたなでしこジャパンは闇雲なハイプレスを避け、[5-4-1]の布陣を基調とする自陣撤退でスウェーデン代表に応戦。自陣や中盤のスペースを埋め続けたことが、今回の善戦に繋がった。相手チームの隊形変化に即した守備をできるようになった点は、2年前からの成長として評価したい。
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