
浦和はノーチャンスだったか?
決して浦和にもチャンスがなかったわけではない。5分の松尾佑介のカットインからのシュートは得点を予感させるシュートであった。しかし開始15分以降、横浜FMの圧力に負けて引いてしまった感が否めない。キャスパー・ユンカーと江坂任のペナルティーエリアへの侵入は効果的であったが、決め切ることができず、攻撃の流れが生まれなかった。
苦しい時間帯が続いていたディフェンス陣だが、GK西川周作のプレーは今年1番の出来と言えよう。特に64分のヘディングを防いだシーン。右へステップを踏みながらも、逆方向のシュートに対して反応。ボールをはじく方向も相手にセカンドチャンスを与えないために、ライン外に出す完璧なセービング。熟練されたプレーであった。

MVPは西村とロペスに
同試合のMVPは、横浜FMのダイナモ(運動量豊富に貢献する選手)西村拓真とアンデルソン・ロペスである。もちろん、横浜FMの全選手がMVP級の活躍をしたことは言うまでもない。そのなかでも2名を選出させていただく。
まず、西村。ピッチを縦横無尽に走る走力で横浜FMの迫力の原動力となった。57分エウベルのゴールは西村の猛烈なチャージによって生まれた。今シーズン、J1リーグ試合別走行距離ランキングの上位3位は西村が独占している。おそらく日本のプロサッカーチームの中で、1試合当たり1番走るのではないか。
続いて、ロペス。非常に勤勉なストライカーである。それは39分のシーンが象徴している。高丘陽平からのフィードをコーナーフラッグめがけて猛烈にランをし、ボールをしっかりマイボールにする。ここでボールを収めてくれることで攻撃に厚みが出てくる。こうした1つ1つのプレーを大事にできるストライカーがいるチームが強い。また、37分と65分のゴールもこぼれ球に対し、1番最初に反応してことによって生まれたゴールである。この2ゴールは準備をし続けたストライカーへのギフトだ。勤勉さこそ、ロペスの強みである。

この街にシャーレを、この街に頂点を
試合後、印象的なシーンがあった。怪我で長期離脱中のFW宮市亮に対し、サポーターが「トリコロールの宮市亮・再びピッチで輝け・待ってるぞ」の横断幕で宮市を迎え入れたのだ。宮市の音頭と共にチャントの1つである「この街にシャーレを、この街に頂点を」が歌われた。
2022シーズンJ1リーグは残り1試合。横浜FMがシャーレとこの歌でフィナーレを迎えることができるか。
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