湘南が今後突き詰めるべきは
J1リーグ残留に向けて手痛い黒星を喫してしまった湘南だが、神戸を相手に手も足も出なかったわけではない。アンカーの茨田が相手の徹底マークに晒されながらも、良い攻撃を繰り出せていた。
神戸陣営のハイプレスに対し、湘南は自陣後方からのロングパスやサイドチェンジのパスに活路を見出す。前半7分47秒に、左センターバックの杉岡から右ウイングバックの古林将太へのロングパスが通ったほか、同10分30秒にもGK谷晃生から阿部浩之へのロングフィードが繋がり、右サイドからの攻撃に発展。同13分10秒には右センターバックの舘から左ウイングバックの中野、この直後にも杉岡から古林へのロングパスが繋がっている。相手の守備隊形を広げる有効な攻め手だっただけに、これをもう少し徹底しても良かった。
また、この試合では相手最終ラインと中盤の間に送り込まれる縦パスも効果的だった。
前半21分05秒以降の攻撃では、神戸の最終ラインと中盤の間に立っていたFWウェリントンに、茨田からの縦パスが通っている。ボールはウェリントンから右サイドの古林に渡り、同選手のクロスは逆サイドに流れるも、その後の2次攻撃から茨田が強烈なミドルシュートを放っている。相手を中央に密集させ、これにより生まれるサイドのスペースを突いた良いパスワークだった。
湘南が今後突き詰めるべきは、相手最終ラインと中盤の間にパスが通った直後に、サイド攻撃と見せかけて中央突破を仕掛けることだろう。
ウェリントンへの縦パスが繋がった前述の場面では、相手のセンターバック小林友希と左サイドバックの酒井の間が一瞬開いている。ウェリントンの近くに立っていたタリクがここへ走り込み、パスを受けていればより大きなチャンスに繋がっただろう。J1残留に向け、中央突破の質も高めたいところだ。
「いつも練習でやっていますけど、相手の間を取ってそこに(パスを)差し込んでいくというのはやりたいサッカーでもありますし、そこはリスクと隣り合わせというか、勇気を持っていけるかどうかだと思っています。そこがなくなったらダメですし、自分たちがやりたいサッカーではなくなるので、精度というところはこだわりながら、勇気というのは持たないといけないと思います」
湘南のDF山本脩斗は神戸戦終了後のコメント(同クラブ公式ホームページより引用)で、今後も密集地帯への縦パスの質にこだわることを明かしている。今季のリーグ戦残り2試合に向け、どれほどパスワークの練度を高められるかに注目したい。
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