
W杯では致命傷になりかねない“守備エラー”も
完璧に思えた前半のなかで、日本代表の守備が乱れる場面もあった。
前半6分45秒以降のアメリカ代表のビルドアップで、ロングからマッケニーへの縦パスが前田と鎌田の2トップ間を通過。サイドから中央にポジションを移していたレイナを遠藤が、デ・ラ・トレを守田が捕捉しようとしていたため、2ボランチ間が開く形に。これによって生まれた中盤のスペースをマッケニーとレイナに使われ、ボールを日本代表の左サイドに展開されると、デストのクロスに反応したヘスス・フェレイラにヘディングシュートを放たれている。シュートこそ枠外に逸れたが、失点に繋がっていてもおかしくなかった。

試合序盤より、遠藤と守田が対面のインサイドハーフをマンマークしていたが、この場面では中央にポジションを移したレイナに遠藤が釣られ、守田もデ・ラ・トレによって一瞬左サイド寄りに誘い出されている。また、前半26分55秒以降のアメリカ代表の攻撃でも同じ現象が見受けられ、センターサークル付近でマッケニーがフリーになっている。このようにマンツーマン守備を逆手に取り、相手の守備ブロックに穴をあける攻撃をアメリカ代表に繰り出されていた。

カタールW杯に向けた日本代表の今後の課題は、ハイプレスと撤退守備の使い分けだろう。今回のアメリカ代表戦のようにハイプレスやマンツーマン守備一辺倒では、パスワークの質がより高いドイツ代表やスペイン代表にも前述の弱点を突かれ、失点を重ねてしまいかねない。
アメリカ代表戦では俊足の前田とフィジカルコンタクトに長ける鎌田、攻守両面で出足が鋭い伊東と久保を前線に並べた森保一監督の人選が功を奏し、ハイプレスが機能。守備の第一プランが見えてきただけに、9月27日のエクアドル代表戦では新たな戦い方を磨き上げたいところ。オーソドックスな[4-4-2]の布陣によるゾーンディフェンスも然ることながら、アメリカ代表戦の終盤に見られた[5-4-1]の布陣による撤退守備も、次戦のテスト項目になりそうだ。
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