4)前に蹴ることで生まれる相手のチャンス
長友が前に蹴りだしたボールを、伊東が自分のボールにできた回数は数える程度。チャンスにつながったのは2回ほど。ほとんどのボールをチュニジアのディフェンス陣が跳ね返してした。そうすると黄色のゾーンでチュニジアは前を向いて攻撃を開始することができる。いわゆる「セカンドボールを奪う」というのがこの行為を指す。
試合55分に起きた1失点目を振り返ると、この現象が発生していた。日本のオフェンス陣とディフェンス陣に空間がうまれ、そこへ前を向いて推進力を持ったチュニジアの選手たちが日本陣地へ侵入してきた。その対応に遅れた吉田が、日本ディフェンス陣の人数が数的に足りているにも関わらず、ファールでPKを献上したのである。
なぜ、あのシーンで経験豊富な吉田があのようなプレーをしたのか。ここからは想像でしかないが、前3戦、日本のディフェンスはある程度機能していたが、チュニジア戦は違ったのだ。それに対して多少の焦りとコンビの板倉と伊藤の経験が足りない(という吉田の自覚?)から「頑張りすぎてしまった」のではないかと推測できる。責任感が強い選手だけに、やってしまいがちなミスである。PK献上直後の吉田の表情をみれば、やってしまった感をは本人も感じていたはずだ。
5)2失点目のシーン
試合76分に起きた2失点目も、日本ディフェンス陣とオフェンス陣の間に相手が走りこんできたパターンである。日本の攻撃時にディフェンス陣の準備ができていないのが2失点目の原因であり、ここに対してケアできる選手が不在であった。元代表の長谷部誠がいないことが非常に悔やまれる。
アディショナルタイムでの駄目押しの3失点目については、チュニジアのゴラッソであったが、日本よりチュニジアの選手の方が枚数は多かった。最後のシーンといえど、しっかり走れるチームは強い。
チュニジア戦は前3試合と様子が異なっていた。シーズンを終え切った海外組の4連戦による疲労はかなりあったはずである。そのなかでもW杯に向けて可能性を示してくれただけに、最終戦の守備はもったいないと感じてしまった。
ここの穴を埋める選手は誰になるのか。攻撃陣を削ってディフェンス重視でいくのか。11月開幕のカタールW杯までの残り期間でどのように守備を構築していくか、森保監督の腕の見せ所である。
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