女子サッカー

和気あいあい!女子サッカー「福岡J・アンクラス」24歳トリオインタビュー

藤崎愛乃(左)宮本樹奈(中)岩井七星(右)写真:anclas

ーアンクラス以前にサッカーをしてきたなかで、苦労はありましたか?

宮本:自分は結構スイスイ来てるかもしれないです。そもそも高校でサッカーは辞めようかなと思っていて。大学に進んだんですけれどそこでもいろいろあって、もう辞めようと思って一時期サッカーしてなかったんです。でも2019年の入れ替え戦の時(常盤木学園高校に勝利しチャレンジリーグ昇格)にアンクラスへ期限付き移籍して、そのまま加入して。地元が熊本なので、九州でサッカーできて良かったです。

藤崎:自分は結構いろんなところに行っています。出身は東京で十文字で6年間やって。大学で関西大学という大阪に行って、今福岡にいるので。あんまり地域にこだわりはなくて、ここでしたい、みたいなのもないし。ゆくゆくは地元のほうに帰れたらなあぐらいな感じで。自分を必要としてくれるところがあるなら、どこにでも行く覚悟はあります。

岩井:高校まで長崎にいて、大学は山口で、そのあと鳥取のチームに加入して。お仕事しながらプレーしていました。保育園でフルタイム働いていたので今より労働時間が長くて、サッカーもやっていたんで身体はきつかったですけれど、仕事やサッカーも楽しかったんでそんな苦労はなかったです。

ー仕事をしながらプレーをすることで、大変なことや楽しいことはなんですか?

藤崎:大変なこと?…は、ないかもしれない。自分と岩井選手はアンクラスの社長が経営するサンエス工業で働かせてもらっているので理解があり、人も温かいです。自分は今年がアンクラス2年目で、去年は違うところで働いていたんですけれど、より環境が良くなりました。今は14時~19時ぐらいで働いています。

岩井:自分は藤崎選手と同じ会社なんですけれど、支店が違います。皆さん理解があって、本当にありがたいです。

宮本:自分は今年から「楽天地」という、もつ鍋屋さんに仕事が変わりました。社長も社員さんたちもサッカーに対してすごい理解があるし、すごい応援してくれます。若い人が多くて働きやすいし、福岡に来てから普通の同年代の女性の方と触れ合うことがなかったから、職場がコミュニケーションの場にもなっていて楽しいです。

ー今日も日差しが凄いですが、皆さんは日焼けなどへの対策はしていますか?

岩井:最近顔パックをやってます。年下の子とか美容に詳しい人に日焼け対策を聞いて、オススメされたやつを買ってみました。

宮本:日焼け止めは塗りますが、練習開始とともに汗で流れちゃって意味なくなっちゃいますね(笑)

ー女子サッカー選手を目指す子供たちに、メッセージをお願いします。

藤崎:自分たちの1世代前ぐらいにFIFA女子ワールドカップW杯優勝(2011年)だったりオリンピック準優勝(2012年)だったりで一回盛り上がりました。去年9月にWEリーグが開幕してまた注目を浴びているなかで、どんどんサッカーに興味を持ってくれるのは嬉しいし、自分らよりもっと若い世代が女子サッカーを盛り上げてくれたら嬉しいです。自分たちは今なでしこ2部ですけれど1部やWEリーグを目指すので、そういう自分たちの姿をみて良いなって少しでも思ってもらえるならいいなと思います。

宮本:WEリーグができて女子サッカーも盛んになってきて、女性でもサッカーを仕事にできるという環境も少しずつできてきました。今の小さい子たちや、アンクラスにもノーヴァという下部組織と、スクールがあるんですけれど、そういう子たちが将来WEリーグとかで活躍してくれたら嬉しいです。

岩井:今は以前より環境が良くて、地域によってはいくつもチームがあったりします。ありがたい環境でサッカーできているのは嬉しいし、子供たちがさらに良い環境でサッカーできるように自分たちも関わっていきたいし、スクールとかにももっと関わっていきたいです。

ープレーヤーとしての、今後の目標を教えてください。

藤崎:1番目指すべきところは「応援されて愛される選手になる」というものです。常に頭にあります。河島監督もよく言うんですけれど、お金を払って試合を観に来てもらったりとか、プロではないけれど興行として試合が成り立っていたりします。そのためもちろん勝ち負けも大事ですし、最後まで走っている姿とか見せられる部分がいろいろあると思うので、1人でも多くの人に見てもらって、チームが、自分が愛されるというところを目指してやっています。

宮本:自分たちの力だけじゃサッカーできないし、ベスト電器スタジアムなど素敵なスタジアムでも試合できないし、ということをソシオ(今年から始まった、1口1,000円のFANソシオ)とかを始めて改めて実感できました。ピッチで表現できる人たちが頑張るしかないので、応援してくれる人たちのためにも1部昇格を目指します。

岩井:応援されるチームになるためには、まず自分たちがピッチで楽しいサッカーをしないといけません。そこを頑張って、愛されるようなチームになれたらいいなと思います。

ーでは、もっと先の目標はありますか?

藤崎:具体的ではないんですけれど、海外、ヨーロッパ圏に行ってみたいというのはずっとあります。サッカー選手としても、サッカー以外のところでも行けたらいいですね。自分からサッカーを取っても魅力的な人間でありたいとずっと思っているので、視野を広げるためにも海外に興味があります。

宮本:普通の女性になりたいです(笑)今はサッカー中心の生活なんですけれど、一回サッカーを全部忘れて、美容系とか好きなので「女性」になってみたいですね。あとは旅行に行きたいです。宮古島とか、沖縄の島でゆっくりしたいですね。

岩井:自分は第2の人生として、特別支援学校の教員になることを目指しています。大学生の時に施設へ体験に行く機会があって「なりたい!」となって。そこから目指しています。子供たちにサッカーとか学んできたことを教えられるような人になりたいなと思っています。

福岡J・アンクラスは九州で唯一、なでしこリーグに参戦している。35周年を迎えたクラブは紆余曲折ありながらも、スペイン語で錨(いかり)を意味する「アンクラ」の名のようにWEリーグへ向けた航海を続けている。3選手のようなまっすぐで情熱あふれる選手たちを応援したい。


プロフィール

宮本樹奈(みやもと・じゅな):1997年8月26日生まれ。熊本県出身。さくらスポーツクラブ→熊本ユナイテッドSCエーマ→熊本ユナイテッドSCフローラ→開志学園JAPANサッカーカレッジ高等部→徳山大学女子サッカー部→福岡J・アンクラス

藤崎愛乃(ふじさき・まな):1997年9月21日生まれ。東京都出身。鷹ノ子SC→十文字中学校→十文字高等学校→関西大学体育会サッカー部→福岡J・アンクラス

岩井七星(いわい・ななせ):1997年8月1日生まれ。長崎県出身。FCエスペランザ→中里中学校→鎮西学院高等学校→徳山大学→クローバー米子フィオーレFC→BLINQFC→福岡J・アンクラス

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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