サッカー日本代表は11月17日、2022FIFAワールドカップカタールのアジア最終予選でオマーン代表と対戦。スコアは1-0で勝利した。
前半を終えて0-0。重苦しい雰囲気を大きく変えたのは、フル代表のデビュー戦となった三笘薫(ユニオン・サン=ジロワーズ)だった。彼の仕掛ける意識がオマーンの陣形を僅かに狂わせ、そしてピッチ全体へと波及。最終的には彼のクロスが、この試合唯一の得点へと繋がったのだった。
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スターティングメンバー、試合内容
システムは前節のベトナム戦と同じく4-3-3。スタメンは1人のみの変更となった。
GKは権田修一(清水エスパルス)。DFは右から山根視来(川崎フロンターレ)、吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(アーセナル)、長友佑都(FC東京)。MFはアンカーの位置に遠藤航(シュツットガルト)、インサイドハーフには出場停止となった守田英正(サンタクララ)に代わって柴崎岳(レガネス)。そして田中碧(デュッセルドルフ)。3トップは右に伊東純也(ゲンク)、左に南野拓実(リバプール)、中央に大迫勇也(ヴィッセル神戸)。
前半は難しい展開だった。ホームゲームのオマーンは全体のバランスを重視。中央をしっかりと固め、そこからカウンターを狙う。この攻撃は日本代表、特に吉田、冨安、遠藤という守備のトライアングルが未然に防いだ。
日本はIH(インサイドハーフ)の柴崎と田中碧がサイドに寄り、サイドから打開を図っていく。しかし受け手の動きが乏しく、オマーンが形成したブロックの外でばかりボールを繋いでしまいチャンスらしいチャンスを作れず。前半を終えて0-0。ここまではオマーンの目論見通りだった。
森保一監督は後半に向け、膠着状態を打破すべく三笘を投入。さらにシステムを慣れ親しんだ4-2-3-1へと変更。すると、これが当たった。三笘は1プレー目から仕掛け、この左サイドにボールが集まり出す。全体の距離感も近くなり、南野、大迫が関与するシーンも増加。前半にはほぼ見られなかった、中央への縦パスで相手を寄せてからサイドへ展開、という形から惜しいシーンを生み出していく。
得点までは至らずじれったい状況は続くも、古橋と中山を投入し4-4-2へ。前線からの圧力が増し、焦れずに攻め続けたことでついに歓喜の瞬間が訪れた。80分、途中出場の中山が高い位置でボールを奪い返すと、再三チャンスに絡んでいた三笘が縦に仕掛けクロス。右サイドから中央に飛び込んだ伊東が、2試合連続のゴールを決め先制に成功。
そこからは時間を使いながら危なげなく試合を進め、1-0で勝利。他会場では2位にいたオーストラリアが、中国とドロー。これにより日本は2位浮上。ついにW杯出場圏内へと上がることに成功した。
改善すべき点
森保監督の交代策が、後半の活性化へと繋がったことは間違いない。対して、同じく森保監督がチョイスしたスターティングメンバーの停滞感は深刻だ。距離感が遠く、パスは「各駅停車」を繰り返した。攻めの形は作れず。三笘を投入するまでの時間帯は得点の匂いがまるでしなかった。クラブでもそうだが、マンネリ化を解消するためには多少強引にでも競争を生み出さねばならない。
採点(及第点5.5)寸評
GK:12:権田修一:6.0
クロスに対しても、ビルドアップの場面でもミスなく対応。被シュート自体が少なかったが、集中力高くパンチングの判断も良かった。
DF:2:山根視来:6.0
縦パスを入れられるSBとして、目指すは同背番号の内田篤人氏か。重宝しそうな選手だが、攻撃時のポジショニングにはまだ迷いも。
DF:5:長友佑都(61分OUT):6.0
縦への突破から伊東へクロスを送り、前半唯一のビッグチャンスを演出。その他は高い位置を取るポジショニングとは裏腹に、チャンスには絡めず。器用なタイプではないのだから、愚直なまでに縦を目指すプレーを続けてほしかった。
DF:16:冨安健洋:6.5
中東勢に過去何度もやられた、カウンター時のFWの速さにも難なく対応。停滞していた前半には意図してボールを持ちあがり、オマーン守備陣にズレを生もうと画策していた。
DF:22:吉田麻也:6.5
クリアが小さい場面は見られたが、90分を通して冷静に対応。試合までの言動が過度なプレッシャーを招くかに見えたが、空回りすることなく結果に繋げた。
MF:6:遠藤航:6.5
イエローカードは残念だが、素早いプレスでオマーンの攻撃を遮断。CB2人とのトライアングルは素晴らしい強度を誇っていた。
MF:7:柴崎岳(45分OUT):5.5
右サイドに流れて攻撃を組み立てようとするも、結果としてチームとしてサイドに固辞することに。見せ場は作れなかった。
MF:10:南野拓実(61分OUT):6.0
前半、彼のいた左サイドは機能不全。明らかに最適なポジションではなく、トップ下へと移した後半にようやくらしさを取り戻す。
MF:14:伊東純也:6.5
徹底してスペースを与えてもらえず。交代が間近に迫っていたなか、一瞬のスプリントで貴重な決勝点を奪った。
MF:17:田中碧:6.0
前半はIHで、後半は遠藤とCHを組んでビルドアップに数多く関与。なんとか試合を動かそうと懸命だったが、ベトナム戦ほど好機に絡めず。
FW:15:大迫勇也(74分OUT):5.5
前半は最前線で身体を張るも、周囲との距離感が遠く孤立気味。後半、古橋投入後にプレーエリアが広くなり窮屈さも解消された。
途中出場
MF:13:三笘薫(45分IN):7.0 MAN OF THE MATCH
後半開始から投入されると、代表デビューとは思えない積極果敢なプレーで試合の流れを変えた。82分にはクロスでアシストをマーク。来季のブライトン復帰のためにも、大きな一歩だった。
DF:20:中山雄太(62分IN):6.0
投入後されると左サイドの守備の強度を上げ、正確な左足のキックで攻撃へ関与。派手ではないが着実に信頼を積み重ねている。
FW:11:古橋亨梧(62分IN):6.0
本領発揮とはいかずも、前線からのプレスと素早い動き出しでオマーン守備陣を苦しめた。
MF:18:浅野拓磨(82分IN):採点なし
先制後に右サイドに入ると、持ち前のスピードを守備に使いサイドに封をした。
MF:8:原口元気(88分IN):採点なし
スコアを動かさずに試合を終えるという役割を果たした。
監督:森保一:5.5
後半開始からの三笘の投入、システムの変更で試合の流れを変えた手腕は見事。ただ、それでも払拭できないほどにスタメンの固定、それが招いた前半の停滞感は深刻だ。
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