
2010シーズンを最後に11年もの期間J1リーグから離れている京都サンガが、長らく続くJ2生活にようやくピリオドを打つことができるかもしれない。今シーズンはチョウ・キジェ監督新体制の下、インテリジェントな戦略と溢れ出るファイティングスピリットで試合を圧倒し、現在J2第31節終了時点、勝ち点67で首位をキープしている。このままの勢いを継続することができれば、2010シーズンぶりとなるJ1復帰、そして2005シーズン以来となるJ2優勝も夢じゃない。
しかし「目の前の試合でしっかり勝点3を獲れるように準備をしていくだけ」というチョウ・キジェ監督の言葉を借りれば、まだまだ残り試合油断をすることはできないということは自明なことである。残り11試合安定した戦いを継続させJ1昇格・J2優勝を成し遂げるために、改めて用心しなければならないことを紹介したい。

カウンターへの対応
今シーズンの京都サンガの真骨頂は「素早いプレス対応」である。ボールを奪われてもすぐに取り返す。全員で意識しなければ決して成功しない非常に難しいタスクである。高い位置でボールを奪い波状攻撃を展開することができる今シーズンの京都サンガの強みだろう。それでも寄せの早いプレスを掻い潜るチームも出始めている。
第27節(8月28日)の東京ヴェルディ戦の1失点や、第28節(9月4日)のヴァンフォーレ甲府戦の3失点目では、見事なカウンターアタックからゴールを許してしまった。かなり多くの選手を高い位置に配置する京都サンガにとって、こうした状況は自らを苦しめることになりかねない。カウンターアタック、ひいては攻撃の起点を作られないためにもここは十分にケアしなければならないと考える。

セットプレーからの得点
京都サンガとして改善をしなければならないポイントの1つに「セットプレー」が挙げられると考える。第31節終了時点で50ゴールを生み出した京都サンガ、そのうちセットプレーからのゴール数はたった「7ゴール」と大きな得点パターンの1つにはなっていない。シーズン序盤にはデザインされたセットプレーからゴールを決めるシーンも見受けられ1つの脅威になっていたが、ここ数試合はそうした匂いは感じられない。
松田天馬、荻原拓也など精度の高いプレースキッカーやストロングヘッダーであるヨルディ・バイス、麻田将吾を擁しているにも関わらず14%というセットプレー得点率は少し気になるところだ。リーグ戦終盤には予想だにしない試合展開が必ずやってくる。勝ち点を落とせない試合で苦戦を強いられないためにも、こうしたセットプレーからのゴールを生み出せるメソッドを改めて構築しなければならない。

ジュビロ磐田との首位攻防戦
J2第31節終了時点で、京都サンガと2位ジュビロ磐田との勝ち点差はたった「1」。どちらに勝利の女神が微笑むのか全く予想できない状況だ。強力なストライカーや多くのJ1経験者を有するなど共通点も多い。
そんな両者の今シーズンを占う首位攻防戦が11月7日に控えている。好調をキープしている両者だけにこのままの調子でいけば、この首位攻防戦はすべてを賭けて挑まなければならない大一番になるだろう。前回対戦ではホームながら勝利を掴み取ることができなかった京都サンガは、このアウェイ戦に向けたコンディション調整を意識しなければならない。
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