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「犯罪者のように…」元甲府MF瀬戸貴幸、ドーピング違反処分時の過酷な経験明かす

瀬戸貴幸(写真中央) 写真提供: Gettyimages

 明治安田生命J2リーグのヴァンフォーレ甲府でプレーした過去をもつMF瀬戸貴幸(35)は、ドーピングの規定違反により8カ月にわたる出場停止処分を受けていた。そんな瀬戸貴幸は、公式戦でプレーできない期間における過酷な環境を明かした。21日、ルーマニアメディア『gsp』が伝えている。

 瀬戸貴幸はアストラ・ジュルジュやトルコのオスマンルスポルFKでプレーした後、2018年夏にヴァンフォーレ甲府へ加入。しかし、J2リーグ1試合、YBCルヴァンカップ2試合の出場にとどまると、契約満了によりヴァンフォーレ甲府を退団。ラトビア1部のFK RFSへの加入をへて、昨年1月にアストラへ3度目となる復帰を果たしていた。

 しかし、瀬戸貴幸は昨年9月にドーピングの規定違反でチームメイト2名とともに長期出場停止処分を受ける。3選手はブカレストの医療施設で注射を受けているが、「12時間以内に100ml以上の液体を体内の取り入れてはならない」という規定に抵触。そのため、同選手は昨季のルーマニア1部リーグでわずか4試合の出場にとどまり、昨年10月以降は公式戦で出場していなかった。

 そんな瀬戸貴幸は出場停止期間中の状況について「とてもしんどかったです。このようなことを経験していない人に対しては説明し難いですよ。まわりから犯罪者のように見られますね。相手の説明を聞くこともできません。給料がない状況でひとりでトレーニングをしていましたし、もはや楽しみはなかったです。それでも私は(翌シーズンのプレーにむけて)準備を重ねましたし、1月にはマイナス15~20℃の中で練習していました」と振り返っている。

 そして「無実を主張するか」という質問に対しては「もちろん私は無実です。ただ、この件についてはもう話したくありません。もう終わったことです。今はピッチに戻っていますし、トレーニングや公式戦でのプレーなど自分の本当にやりたいことができています。あの時のひどい経験があったからこそ、自分自身さらに強くなっていると思っています。(出場停止期間中は)刑務所にいるような感覚でしたが、もう終わったことです。今は日々やるべきことに集中していますよ」と語っている。

 なお、瀬戸貴幸は昨季終了後に2部へ降格したアストラを退団。1部リーグでのプレーを目標とする中で移籍先を探していたが、今月29日にルーマニア2部のペトロルル・プロイェシュティと1年契約を締結。今季はここまでリーグ戦全7試合に出場している。