育成型から金満化へ、大久保引退発言
C大阪は全盛期のクルピ監督&梶野氏体制が終焉した2013年のオフ、2010年の南アフリカW杯の得点王で大会MVPも受賞したウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランを年棒6億円で獲得する。「強化部にも内密に獲得交渉を進めた」と当時の岡野雅夫社長は豪語したが、チームもフォルラン自身も不振続き。翌年夏にも元ドイツ代表FWカカウを年棒3億円で獲得し、監督も2度交代させながらJ2へ降格した。
その後、大熊チーム統括部長が就任し、C大阪では2017年からのクラブ史上最高の黄金期が始まった。しかし、クルピ&梶野体制のような「育成型クラブ」の方針ではなく、欧州へ移籍した清武や柿谷、山口をC大阪からの移籍時よりも高い移籍金で再獲得するなど、大金を使う「金満クラブ」なイメージに変わった。コロナ禍以前から債務超過の危険があり、決して好成績だけをが評価されるべきではない。
その影響からか、今季は補強を最小限に止めてチームを編成したが、昨季J2の東京ヴェルディで無得点に終わり、今年39歳となった元日本代表FW大久保嘉人の獲得で批判を浴びた。大久保自身が古巣C大阪で引退する意向を汲んでの獲得だったが、クラブ公式のオンライン会見にて「結果を残せないようだと3カ月で引退させる権限をもっている」と、梶野氏が発言して火に油を注いだ。
大久保は今季開幕5試合で5得点を挙げてチームを牽引していたが、怪我で戦列を離れ始めると勝利から遠ざかった。皮肉なことに大久保の活躍によって生き延びてきた梶野氏は、J2のモンテディオ山形から獲得したMF坂元達裕が日本代表からも招集を受けるなど“らしさ”も発揮してはいるが、引退状態にあったクルピ監督を招へいした責任は重い。現時点で梶野氏の去就は発表されていないものの、今季限りでの退任が濃厚だろう。
小菊新監督体制での大阪ダービー3連戦
8月28日、G大阪との「大阪ダービー」では、C大阪がライバルを敵地で1-0と下した。右サイドバックの松田陸が中央の位置でボールを受けてミドルシュートを決めた。ロティーナ監督時代に植え付けられたポジショナルな戦術眼が活きた。ロティーナ監督体制時もよく知る小菊新監督は、チーム全体によりハードワークを要求。守備意識が高まったことによって相手を圧倒する完勝だった。
その後、ルヴァン杯準々決勝の2試合でも大阪ダービーが続く。C大阪は9月1日に行われたホームでの第1戦を0-1と惜敗し、5日には敵地で第2戦を迎える。「大阪ダービー3連戦」は共に監督交代が起きた両チームにとって、今季の行方を左右する大きなターニングポイントとなる。
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