「パニックバイ」なのでは?
アーセナルは他のクラブと比べて選手補強が上手くない。今シーズンの新加入選手であるDFベン・ホワイト獲得においては、移籍金(約76億円とされる)を払いすぎているのではないかという指摘があるほどだ。実際マンチェスター・ユナイテッドがラファエル・ヴァラン(約63億円)とクリスティアーノ・ロナウド(約30億円)の獲得のために支払った移籍金よりも高いとされており、リーグ開幕戦であるブレントフォード戦でのパフォーマンスも相まって非難の集中砲火を浴びている。
反対に中々思い切った放出もできずクラブの新陳代謝が芳しくない。そうした状況下で移籍市場最終日に冨安を獲得するといった一連の流れは、本当に合理性に沿った補強だったのかという疑問が残る。いわゆる「パニックバイ(冷静な判断力を欠いて買いに走ること)」だ。
アーセナルはこれまでも移籍市場がクローズするギリギリのタイミングで「思いつき」で実力ある選手の獲得に踏み切るケースが多く、迎えられる選手たちの成否はギャンブル性が伴っている。かつてミケル・アルテタ(現監督)やペア・メルテザッカーはチームに順応することができたが、パク・チュヨン、ヨッシ・ベナユン、アンドレ・サントス、セバスチャン・スキラチなど期待されて入団した多くの選手たちが全く機能しなかったことについても認識しておかなければならない。
アーセナルと日本人選手との相性は大丈夫なのか?
アーセナルでレジェンド級の功績を残したアーセン・ベンゲル元監督が、かつて名古屋グランパスエイト(1995–1996)で指揮を執ったこともあり、日本でのアーセナルの人気は根強い。ベンゲル氏がアーセナルの指揮官に就任(1996-2018)してからも日本への関心を寄せ、これまでに稲本潤一、宮市亮、浅野拓磨の日本人3選手が続々とアーセナルへ入団を果たした。
しかし彼らがアーセナルで活躍できたかというとお世辞にもイエスとは言えないだろう。出場機会は3人合わせても微々たるものだ。このようにアーセナルと日本人選手が良縁に恵まれないというジンクスが存在している。ただこれまでの日本人選手のような「将来性を睨んだ育成枠」とは異なり、冨安には「即戦力」としての期待が寄せられており、その点ではこのジンクスを打ち破る可能性は十二分にあると言えるだろう。
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