日本代表・海外組

久保建英や小野伸二で測る“世界との距離”で自信を掴め!

日本代表MF小野伸二(2002年)写真提供:Gettyimages

久保建英と小野伸二で測る世界との差

2019年の5月から6月にかけて開催された「2019 FIFA U-20W杯ポーランド大会」は、1試合9ゴールを奪ったことで現ノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)が“発見”された大会である。「久保世代」と称されたU-20日本代表も参戦したが、チームの中心選手だった久保は同時期に開催されたコパ・アメリカ2019に参戦するフル代表へ召集されたため、U-20W杯は不参加となった。(2017年に同大会には出場している)

久保を欠いたU-20日本代表はグループステージを1勝2分無敗の2位で勝ち抜けたが、ラウンド16でアジアのライバルである韓国に敗れた。韓国はスペインのバレンシアの下部組織で育てられ、久保より先にスペインの古豪でラ・リーガ1部にデビューしていたMFイ・ガンインがチームを牽引。2ゴール4アシストの活躍で韓国を準優勝へ導き、自身は大会MVPを受賞していた。

しかし、ラウンド16で対戦したU-20日本代表の主将MF齊藤未月(現FCルビン・カザン)は、大会後に「イ・ガンインってやっぱり凄かったのですか?」と問われると、「確かに凄く巧い選手だったと思いますが『建英の方が凄くない?』とチーム内では言っていました」と答えていた。

その時に思い出したことがある。1999年に同じU-20W杯へと名称が変更される前の「FIFA U20ワールドユース選手権ナイジェリア大会」で準優勝をした当時のU-20日本代表である。決勝では司令塔シャビ・エルナンデスを擁するスペインに0-4と大敗したものの、日本はFWピーター・クラウチやDFアシュリー・コールがいたイングランドや、DFラファエル・マルケスがいたメキシコ、FWディエゴ・フォルランを擁したウルグアイといった強豪国を次々と撃破していった。当時のチームの主将を務めていた小野伸二(現北海道コンサドーレ札幌)が前年に高卒1年目ながらフランスW杯のメンバー入りを果たし、第3戦のジャマイカ戦で18歳にしてW杯デビューを果たしていた。この大会でも本山雅志と共にベストイレブンに選出されている。

当時の準優勝メンバーであるFW播戸竜二らは、強豪国を相手にしても「伸二より巧いヤツは誰もおらんよな?ウチにはW杯に出たことがある選手がいるんやから」とチーム内で言い合っていたと打ち明けていた。久保や小野を世界との距離を測る物差しとして、自分たちが世界とも対等に渡り合える自信を掴んでいたのである。もちろん、2019年当時の韓国の選手たちもイ・ガンインを同様に見て、自分達の自信にしていたことだろう。

東京五輪を戦うU-24日本代表が第2戦で迎えるメキシコにはディエゴ・ライネスという21歳の左利きの”鬼才”がいる。僅か16歳でメキシコリーグの強豪クラブ・アメリカでプロデビューした超逸材で、18歳でデビューしたフル代表でもすでに14試合3得点の実績を持つ。しかし、彼は18歳だった2019年1月にスペインの中堅クラブであるレアル・ベティスに1700万ユーロ(約21億円)もの高額な移籍金で加入して以降、出場機会に恵まれずに伸び悩んでいる。ラ・リーガ1部では2年半で48試合に出場したが、先発出場は僅かに13試合でフル出場は1試合のみ。そして、未だ無得点が続いている。

一方、久保はラ・リーガ1部の2年間で66試合出場5得点。先発出場は33試合でフル出場は16。1歳年上のライネスより半年あとにラ・リーガに参戦しているが、軒並みライネスを上回っている。

U-24日本代表のメンバーには、そんな久保と共に世界の舞台で自信を持って戦ってもらいたい!

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