女子サッカー

東京五輪出場レース始動。INAC神戸に電撃移籍した田中美南の覚悟

田中美南 (C) INAC KOBE LEONESSA (photo by T.INOUE)

日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)“絶対女王”の日テレ・東京ヴェルディベレーザからINAC神戸レオネッサへ移籍したFW田中美南が1月27日、新体制発表会見で真新しい赤いユニフォーム姿で初お披露目。日テレを5連覇へと導いた大エースの挑戦の裏にあるものとは…。

慣れ親しんだ緑から赤へ

東京五輪イヤーの幕が上がった1月18日、デイリースポーツが報じた「田中美南、INAC神戸に電撃移籍 東京五輪代表入りへMF岩渕とホットライン形成」の衝撃ニュースがスクープされた。この日の午前中はTwitterでもトレンドワードでも「田中美南」が浮上し、この日の午後、日テレとINAC神戸の公式サイトでも移籍のリリースが発表された。なでしこリーグ1部の“絶対女王”のエースを覇権奪回に燃えるライバルチームが引き抜いたビッグニュースはオフシーズンに火をつけた。

(C) INAC KOBE LEONESSA (photo by T.INOUE)

国際舞台で活躍するための挑戦

1月27日に行われたINAC神戸2020シーズン新体制発表会見に赤のユニフォームで登場した田中は「オリンピックという大きな舞台で活躍すること」と移籍を決断した理由を話し、昨季の20ゴールを上回るゴール数とINAC神戸を優勝へと導く決意を表明した。移籍の舞台裏には、2019年にフランスで行われた女子W杯に出場できなかった悔しさがあり、パスが集まる日テレでプレーを続けていても東京五輪には出場できたとしても活躍することはできないかもしれない、または代表落選の可能性もあるかもしれないという危機感が今回の“電撃移籍”に踏み切った理由とも語った。

日本のエース岩渕真奈の存在

環境を変え、自分の評価を変える田中の移籍の裏には敬愛する日本のエース岩渕真奈の存在も大きかった。日テレの大先輩でドイツでもプレーした岩渕の存在が移籍の決断を後押しした。現在のなでしこジャパンは、サッカーを作る日テレのスタイルよりも、フィジカルに優れ縦に速い展開を好むINAC神戸の選手が重用されている。その両方のスタイルの中心にいるのが岩渕であり、新たなサッカースタイルを身につけたい田中にとって岩渕の側でなら安心して新しい環境でも生活できると背中を押した。INAC神戸は海外クラブでプレーしたい選手を送り出す寛容さもあり、海外挑戦を視野に入れている田中にとって新しい環境でサッカーをする免疫力を高めることもできるのが大きかった。

一強時代でマンネリ化しつつあった、なでしこリーグに起きたビッグニュースは地殻変動を起こすのか!?東京五輪出場のレースがいよいよ始まる。