マッツァーリ監督とサッリ監督の例
指導した選手が欠かせない存在となり、チームが変わっても側に置いてきた監督は他にもいる。
2009-2013年にナポリの監督を務めたワルテル・マッツァーリ(現トリノ監督)は、当時セリエAで彼の元でレギュラーだったミゲル・ブリトスとヴァロン・ベーラミを、2016年5月に就任したイングランドのクラブ、ワトフォードに呼んだ。
さらに、イタリアの監督の中で最もこのパターンが多いのは、現在ユーベの監督を務めているマウリツィオ・サッリである。
サッリは、ナポリでの監督期(2015-2018)に、エンポリ時代(2012-2015)に信頼していた選手を5人も引き抜いた。エルセイド・ヒサイ、ミルコ・ヴァルディフィオーリ、ピオトル・ジエリンスキ、ロレンツォ・トネッリ、マリオ・ルイの5人だ。また、2018年7月にチェルシーの指揮を取ることになった際には、ナポリの中盤の中心であったジョルジーニョをイングランドに連れて行った。
グアルディオラ監督の例
イタリアの監督だけではなくとも、同様の例はたくさんある。しかしこれまで一番有名になったケースは、現在マンチェスター・シティの監督を務めているジョゼップ・グアルディオラの話だろう。
グアルディオラは、2013年6月にバイエルン・ミュンヘンの監督に就任した際、バルセロナでの監督期(2008-2012)にセンターハーフとして活躍したティアゴ・アルカンタラ(2009-2013)をこのような言葉で強く求めた。
「彼(アルカンタラ)は素晴らしいミッドフィルダーである。彼を獲得してもらいたい。そのポジション(センターハーフ)では彼より上手い選手がいないと思うし、彼以外に誰もいらない」
すると、その発言の数日後(2013年7月)に、バイエルン・ミュンヘンはマンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリードのオファーを抑えて、ティアゴ・アルカンタラを獲得したのだった。
そこまでに監督から信頼される選手たちはきっと幸せだろうが、同時に大きなプレッシャーも抱えているに違いない。良いパフォーマンスができなければ自分だけではなく、どうしても自分を欲しがっていた監督のクビまで吹っ飛ぶかもしれないのだから…。
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