不明確なハンドの基準
英紙『テレグラフ』はこの問題に対し、現在の競技規則に基づいて2つの答えを提示している。ひとつは、規則の言葉通り「意図的な」ハンドだけを反則とすることだ。
サッカーの試合を見ていればハンドを目にすることは珍しくないが、実際にマラドーナの「神の手」や2010年W杯のスアレスのように意図的に手を使う選手は多くない。相手にPKを与えることが分かっているペナルティエリア内の守備ではなおさらだ。あくまで「意図的」と判断されるハンドだけをファウルとすることを徹底すれば、つまらないPK判定が増えることもないだろう。
2つ目のオプションは、逆に意図的かどうかの解釈を無くし、手や腕にボールが当たったら常にハンドの反則を取るというものだ。これは選手にとっては厳しいが、少なくともファウルか否かの基準は非常に明確になる。
皮肉にもVARが母国に不利に働く形となったFIFA副事務局長のズボミニール・ボバンは「(ジャンニ・インファンティーノ)会長が言うとおり、VARはサッカーを変えているのではなくクリーンにしている」と評価し、「非常に多くの議論が生まれたことは素晴らしいが、これらの議論が意味のあるものになるには競技規則とVARの仕組みを完全に理解しなければならない」と語っている。
VARの導入によって、審判団はテレビ視聴者と同様にプレーの細部を見返して規則を適応することができる。しかしより多くのサッカーファンが判定に納得できる環境を作るには、テクノロジーの導入に従う形でルール自体も微調整する必要があるのかもしれない。
著者:マリオ・カワタ
ハンガリー生まれドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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