著者:マリオ・カワタ
ロシアワールドカップ開幕前、英紙『ガーディアン』は出場権を逃した世界中の「中立国」のサッカーファンに今大会で応援するチーム、逆に嫌いなチームはどこかを尋ねた記事を公開した。最も人気があったのはリオネル・メッシが世界一のトロフィーを掲げるところが見たいという理由で支持を集めたアルゼンチン代表と、史上最小の出場国であり2年前の欧州選手権でも好感度の高かったアイスランド代表だった。
では逆に、嫌われ者のチームはどこなのか。記事で最も多く名前を挙げられたのは、開催国のロシアだった。そしてその理由は、サッカーとは直接関係のない問題ばかりだ。
「政治的な理由」(スロバキア)
「これまでの歴史を考慮すると、隣の“いじめっ子”であるロシアを応援することは不可能だ」(エストニア)
「言わなくても分かるだろう?」(フェロー諸島)
「アメリカと言いたいところだけど出場しないから、彼らを操っているロシアだね」(カナダ)
「ロシアとサウジアラビア。人権を侵害する国だから」(アイルランド)
「大会がロシアで開かれること自体が冗談だよ。ウクライナが出場権を得ていたら、ボイコットしてほしかったくらいだ」(ウクライナ)
こうしたコメントからは選手や代表チームではなく、国自体のイメージの悪さがうかがえる。現在もロシアとの間に大きな政治的問題を抱えるウクライナをはじめとした隣国が彼らを応援したくないのは当然かもしれないが、ロシアでの大会開催に懸念を示していたのは根強い不信感を持つ西欧も同様だ。特に欧州選手権の際にマルセイユでロシア人フーリガンと大規模な衝突を起こしたイングランドでは、繰り返し安全に対する懸念が報道されてきた。
しかしふたを開けてみれば、ロシアW杯はこれまで少なくともサッカーの大会としては大きな成功と呼べる展開を見せている。印象的かつドラマチックな試合が多く、特に決勝トーナメントに入ってからは目の離せない試合が続いた。有力チームの相次ぐ敗退は驚きとともに、新興勢力に上位進出の希望を与えている。
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