ワールドカップ 代表チーム

ドイツで高評価を得る日本代表の「ブンデスパワー」乾貴士の変貌には驚きも

著者:マリオ・カワタ

好印象を与えた日本代表の“ドイツ人たち”

 ドイツ代表が衝撃の敗戦とともに大会を去った今、ロシアW杯でブンデスリーガのファンにとって馴染みのある選手が最も多いチームは日本代表かもしれない。なにしろ23人のうち7人が現在ドイツでプレーしており、過去に在籍した選手も含めるとその数は半数以上の12人にもなる。ドイツメディアが日本代表を紹介する際にも、間違いなく一番に触れられるのは「ブンデスリーガ組の多さ」だ。

 その親しみのある選手たちが強豪を相手に堂々のパフォーマンスを披露していることで、ドイツでも日本代表の戦いぶりは好意的に報じられている。例えば日本が2-1の番狂わせを演じた19日のコロンビア戦後、『ビルト』は「ブンデスリーガ組の2得点で日本が歓喜」と見出しを付け、香川と大迫という「ドイツ人たち」のブンデスリーガパワーが日本に勝利をもたらしたと書いている。

 日本代表が好印象を与えたのはセネガル戦も同様で、公共放送『ARD』の中継ではコメンテーターが2度のビハインドを負いながら同点に追いつく精神的な逞しさを称賛した。この試合をドイツメディアは総じて「どちらのチームにも勝つチャンスがある好勝負だった」と評価しており、試合開始直後に数的優位とPKを獲得したコロンビア戦の勝利が単なる幸運ではなかったことを認識させる結果となった。

大迫の活躍を喜ぶ新天地ブレーメン

 日本国内と同様、ドイツでもコロンビア戦後に最もスポットライトを浴びたのは決勝点を決めた大迫勇也だった。第2戦の中継の際には日本のワイドショーの映像を使い、街中のサポーターが「半端ない」を連呼するフィーバーぶりが報じられたほどだ。大迫は既にケルンからブレーメンへの移籍が決まっているが、当然その活躍には新天地も沸いている。フランク・バウマンSDはこれまでの2試合のパフォーマンスに「ユウヤは最前線で非常にうまく、とても技術的にプレーしている」と満足感を示した。ドイツではウイングや1.5列目以降の選手と見られることが多い大迫だが、センターフォワードとしての有能さをアピールすることでブレーメンでの起用法にも影響があるかもしれない。

 日本代表のキープレーヤーとして頻繁に取り上げられているのは、長谷部誠も同様だ。フランクフルトでは3バックのリベロとボランチの2つの役割をこなし、DFBポカール制覇にも貢献した日本のキャプテンは特にセネガル戦で高評価を得た。『ビルト』は試合で最多のボールタッチ(80回)とパス(71本)を記録したパフォーマンスを称え、専門誌『キッカー』もゴールを決めた乾貴士に次ぐ評価点を与えている。

 地元紙『フランクフルター・ルントシャウ』も34歳の長谷部が「若返りの泉に落ちたかのようだ」として、年齢を感じさせない精力的なプレーを日本のキーポイントに挙げた。フランクフルトでは昨季序盤は怪我の不安から出場機会が限られ、結果的に来季終了までの1年だけ契約を延長しているが、現在の調子が続くようならクラブはその先もインテリジェンスとアグレッシブさを兼ね備えたベテランを引き留めたいと思うだろう。

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