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5クラブによる混戦のセリエA残留争いから抜け出すのは【第2回】

4月末のキエーボ指揮官に就任後、連勝でチームに自信を与えたロレンツォ・ダンナ氏  写真:chievoverona.it

監督交代後に功を奏した4バックへの“回帰”

 『デルビー・デッラ・スカラ』としてベローナ市の“覇権争い”が2015/16シーズンぶりにセリエAの舞台で実現した今季は、コッパ・イタリア4回戦も含めキエーボが1勝2敗と負け越している。このダービーマッチはキエーボが90年代にようやくセリエAの舞台に名乗り出たこともあり、通算で19度と歴史は浅い。ただ今季、エラス・ベローナがすでにセリエB降格が決定しており、この最終節の結果次第では、来季のセリエBで再び顔合わせとなる可能性もある。

 話をキエーボに戻すと、3月のインターナショナルマッチウィーク明けのサンプドリア戦こそ勝利したものの、4月以降は下降線を辿る。指揮官ローマン・マランに焦りの色があったのか、第33節・SPAL戦からの3試合では最終ラインに3枚並べるシステムを“急造”。SPAL戦で1ポイントはつかんだものの、格上のインテルやローマには通用することなく、これまで約4シーズンに渡り指揮に当たってきたマランは虚しくも解任の憂き目に遭う。

 そのマランの後任としてクラブ首脳陣はプリマヴェーラを率いていたロレンツォ・ダンナの内部昇格を決断。するとかつて“空飛ぶロバ”の最終ラインを支え、1994/95シーズンにセリエBを舞台に実現した『デルビー・デッラ・スカラ』でピッチに立った経験を持つダンナが見事な手腕でチームを立て直す。

監督交代前は慣れない最終ラインでの起用が続いたキエーボのイバン・ラドバノビッチ  写真:chievoverona.it

 この新指揮官はシステムを慣れ親しんだ4バックに戻し、チームの“重鎮”であるDFダリオ・ダイネッリとDFマッシモ・ゴッビに最終ラインを任せる。そしてマランの解任直前に3バックの中央という慣れないポジションでの起用が続いていたイバン・ラドバノビッチを本職のレジスタに配置転換した。すると、残留争いのライバルであるクロトーネ、そしてボローニャから6ポイントの獲得に成功したのだ。

 現在勝ち点37と降格圏と2ポイント差をつけているキエーヴォはホームに最下位ベネベントを迎え撃つ。現在降格圏内に沈んでいるクロトーネとの直接対決の結果や他クラブの得失点差を考慮すると、3ポイント獲得を狙う可能性が高そうだ。エラス・ベローナの“道連れ”になることなく、最後にスタディオ・マルカントニオ・ベンテゴディで「ロバが空を飛ぶ」こととなるのだろうか。

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