プレミアリーグ

古風で地味で個性的なバーンリー。約半世紀ぶりにヨーロッパの舞台へ

ニック・ポープ

ニック・ポープ 写真提供:Getty Images

 バーンリー快進撃の始まり

 しかも開幕戦で対戦したのは、昨シーズンの覇者であるチェルシー。言わずと知れたメガクラブだ。世界中の9割(私の勝手な想像であり、自身もその中のひとりだった)のプレミアリーグファンがチェルシーの勝利を疑わなかったこの試合で、バーンリーは前回王者を蹴散らす。しかもアウェイで。

 バーンリーの基本的な戦い方は一言でいえば堅守速攻だ。ダイク監督は、4-4-1-1の縦も横も非常にコンパクトな守備組織を作り、危険なエリアからフリーでシュートを打たせないことを主眼においてプランを立てている。今シーズンブレイクを果たしたジェームス・ターコウスキーと、副主将のベン・ミーのセンターバックコンビを軸に、最後の局面で身体を投げ出してシュートを防ぐ、もしくはシュートコースを限定するディフェンスを徹底する。

 攻撃は1トップを務める長身のクリス・ウッドに向けてロングボールを蹴りこむか、サイドからのクロスボールで彼の強さを活かすシンプルなものだ。

 誰も予想しなかった彼らの快進撃はここから始まった。トッテナム・ホットスパーやリバプールに引き分けるなど健闘し、リーグ前半戦を終えて7位につけた。驚異的だったのが彼らの守備の堅さだ。19節を終えた時点での失点数は15で、これより少ないのはマンチェスター・ユナイテッドとトッテナムの14失点と、マンチェスター・シティの12失点のみ。それを支えたのが、今シーズン台頭したニック・ポープだ。

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