プレミアリーグ

古風で地味で個性的なバーンリー。約半世紀ぶりにヨーロッパの舞台へ

著者:土屋一平

 アイルランドで観たバーンリー

 今シーズンが始まる前、7月にアイルランドの首都ダブリンに滞在していた私は、バーンリーが地元のクラブ、シャムロック・ローバーズとプレシーズンマッチを行うというので、スタジアムまで足を運んだ。

 7月と言えど、あまり気温の上がらないダブリン。フライドポテトとホットコーヒーを携えて観た試合は、誰よりも大きく見えたバーンリーの監督、ショーン・ダイクのダミ声が響く中で、大差でクラレッツ(バーンリーの愛称)が勝利を収めた。

 彼らがアイルランドでプレシーズンマッチを行うのには理由がある。アイルランド代表選手が多く所属しているからだ。チームのストロングサイドを担う左サイドハーフのロビー・ブレイディと左サイドバックのスティーブン・ウォードは、アイルランド代表でも同サイドでコンビを組み、トップ下はジェフ・ヘンドリックが務めている。さらにストーク・シティから今シーズン移籍してきたベテランストライカー、ジョナサン・ウォルターズもアイルランドでは人気の選手だ。

 彼らを代表とするアイルランドの選手たちは、精神的にも肉体的にもタフだ。この国ではラグビーが最も人気のあるスポーツであるため、そうした影響は少なからずあるのだろうと想像する。そして彼らを要するバーンリーも同じように、精神的にも肉体的にもタフなチームだ。言ってみればイングランド伝統の「キックアンドラッシュ」に最も近い戦い方をするチームがバーンリーだと言える。

 昨シーズンを残留ギリギリの16位で終えたクラレッツは、今シーズン開幕前も降格候補に挙げられていた。輝かしいタレントがいるわけでもないチームは、綺羅星のごとくスター選手が居並ぶプレミアリーグにおいて、“古風”で“地味”なチームであり、彼らの監督のように“個性的”でもある。

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