Jリーグ V・ファーレン長崎

14秒で全員がPA内に帰陣。4連勝中の好調長崎を支える驚異的な運動量と戦術的柔軟性

柏戦の長崎のボール奪取位置の分布図。赤が前半、白が後半を表す 写真提供:Getty Images

 データ分析プラットフォーム『Wyscout』のスタッツを使って、柏戦をもう少し詳しく見てみよう。前述の通り、ボール支配時間の合計は長崎の23分間に対して柏が41分間と大きく上回った。

 これを踏まえて長崎のポゼッションのリカバリー位置の分布図を見ると、ボールを奪う位置が非常に低かったことが分かる。フィールドを三分割すると62.7%が自陣のゴールに近い位置となっており、柏の39.6%と比べてもかなり高い数字だ。

 しかし前半はほとんど前線や中盤でほとんどボールを奪えていないのに対し、後半はより高い位置でポゼッションを回復できている。長崎は前半に中村慶太と平松宗の2トップを敷いていたが後半からは中村の1トップに布陣を変更しており、このシステムの変更が一定の成果を上げた形だ。

 試合後の公式コメントで高木琢也監督は、前半の途中から柏がサイドを使う傾向を強めたことに対する修正だったことを明かしており、劣勢の中でもこうした戦術の引き出しが多い点はチームの成熟度の高さを感じさせる。

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