日本サッカー協会が、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督の解任と西野朗技術委員長の新監督就任を発表した。昨年末から今年の初めにかけてサウジアラビア代表とオーストラリア代表が新監督を迎えているように、ワールドカップ予選突破後に監督が交代すること自体はそう珍しい事ではない。しかし本大会2ヶ月前というタイミングは世界的に見ても異例だ。
この決断が「手遅れになる直前で手を打った」と評価されるかは結局のところ本大会での戦い次第だが、仮に新監督の下でチームが奇跡的な改善を見せたとしても、監督交代のタイミングが遅すぎたことは間違いない。少なくとも昨年末の時点で決断していれば、先月の親善試合も新体制で迎えることができたはずだった。
そもそも、なぜ今なのか。表面的に見ればベルギー遠征でのマリ戦、ウクライナ戦で内容と結果が従わなかったことで、昨年8月にワールドカップへのチケットを手にして以降積み重なってきた不信感が決定的になったということになる。だがなにより問題だったのは、監督と選手間の信頼関係が感じられなかったことだろう。
本大会前のキャンプではまとまった時間を取ることができ、2010年ワールドカップのように短期間でチームを立て直すこと自体は不可能ではない。ただそのためには、監督と選手の良好な関係が絶対条件となる。日本サッカー協会の田嶋幸三会長もコミュニケーションや信頼関係の問題が露出してしまったと語っているが、チームを外から見ていても選手たちに監督を信頼し最後までついて行こうという気概は感じられなかった。
また皮肉な見方をすれば、日本代表への期待感が底を打ってしまったことも解任の理由のひとつかもしれない。「ハリルジャパン」から「西野ジャパン」へ看板をすげ替えることで、国内の悲観的な空気を入れ替えることができる。チームのパフォーマンスに直接影響を与えるわけではないが、ワールドカップという一大イベントをより大局的な視点で考えると、これは実は重要な要素だ。
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