戦術がより複雑になってきた昨今のサッカー界。そんな中、「個人戦術アナリスト」という他には類を見ないようなアプローチで、選手の成長を助ける人物がいる。ローラン・フリーリンク氏だ。
今回は個人分析のパイオニアであるフリーリンク氏と、その顧客である浦和レッズに所属するクエンテン・マルティノス選手の独占インタビューを紹介する。
フットボール・トライブ(以下FT):自己紹介をお願いします。
ローラン・フリーリンク(以下LV):私はプロ選手の個人戦術アナリストです。彼らはヘッドコーチと同じように、所属クラブではチームに焦点を当てて練習しているので、私は選手個人に焦点を当てることにしました。代理人が選手個人のケアをするように、私も選手がより大きなクラブに行ったり、成長することを助けたりしたいと思っています。
FT:なぜこの仕事を選んだのですか?
LV:私はバスケットボールのプロ選手でした。バスケットボールはサッカーよりも一人ひとりの能力への依存度が高く、私のような背の低い選手や背の高い選手がチームにはいます。そのため、ドリブルなどの個人能力を向上させるための異なるトレーナーが存在するのです。サッカーは、よりチームを基本に置いていますよね。
私は学校でも働いていました。子供たちが教室でどのように振る舞っているのか、ビデオを作成してご両親に見せていたのです。これらの二つを組み合わせてフットボール界に持ち込み、2年前にこの会社を立ち上げました。バルセロナで1ヶ月勉強し、選手個人の影響力がどれだけ重要か思い知らされたのです。
FT:バスケットボールや野球は選手個人に焦点を当てるチームスポーツです。サッカーはよりチームに比重が置かれたチームスポーツなので、選手個人に対する分析が前述した2つのスポーツよりもなされていないのでしょうか?それとも単純に、スタッツ上の分析に当てはめるのが難しいからでしょうか?
LV:サッカーは複雑なので、分析するのも難しいのです。バスケットボールが敵味方合わせて10人なのに対して、サッカーは22人います。それもお互いが作用し合っています。バスケットボールには、「シュート位置」のようなスタッツが数多く存在します。しかしサッカーのデータは日進月歩しています。私はそれほどデータを見ず、「振る舞い」を見ます。もしマルティノスが相手選手を抜き去ったとしても、チームメイトが得点しなければ、彼のいいプレーを誰も見ないことになります。スタッツから何かを見つけることができるかもしれませんが、それがすべてではありません。
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