一方、この試合に出場しなかった原口元気は、もともとハリルホジッチ監督の信頼を得て長く先発としてプレーしていた選手だ。しかし前所属クラブのヘルタ・ベルリンで出場機会を失ったことが影響し、日本代表での出番も減少していた。
マリ戦で出場していたら、どのようなイメージでプレーしたのかを聞かれると「いつも通りですね」と答え、こう続けた。
「ボール持った時は推進力を出したかったし、裏取れる時は取りたかった。でもあんまり後半はボールの回しがよくなかったので、難しいだろうなとは思ってましたけど。前半は結構、よかったと思います」
また、観客がほとんどおらず、監督の声が選手に通りやすい環境が選手たちに与えた影響はあったようだ。
「すごくダイレクトプレーというか、一発でっていうのが多くなって。攻撃というより守備だと思うんですけど、一枚一枚がはがされてたんで。そこで取ったり、二人で囲んで取り切ったりとかするシーンが増えれば、自然と攻撃はいいものが出ると思うので、逆にそっちだと俺は思いますけどね」
マリ戦が終わった後、夜にはW杯で優勝を狙うドイツ代表やアルゼンチン代表、フランス代表などが試合を行っていた。ドイツ代表対スペイン代表の試合を観たという原口は「びっくりした」そうだ。
そういった世界トップレベルの速さや圧力を、日本で実現するにはどうすればいいのだろうか。
「今すぐあれをやれと言っても難しいので、あの(ドイツやスペイン)ような相手にもポイント取れるような考え方をしないといけない。正直、コロンビアもフランスに勝っているし、強いのは間違いないから、そういう相手に対して自分たちが今できる最善のポイントを取れるかってことを考えないといけない。本当にちゃんと現実を見てやらないといけない部分があるかなと思います」
このように語った原口は、そのためには守備が重要だと考えているそうだ。
「ちゃんと守れればできると思います。はがされ続けると難しいとぼくは思っている」
「ベルギー戦みたいに、引いてブロックを作るシーンもあるし、昨日だったら前から行こうという意識が、まあ試合中に変えれたらいいと思うし。そこらへんは前からいっててあまりはまってなかったから、変えてもよかったかなと」
「今その、監督が言っているように守備をうまくやりながら出ていくってところなので、はがされないように、でもプレッシャーをかけ続けられるような守備を、もう一度しっかり全員でやってかないといけないかなと思います」
コロンビア代表対フランス代表の試合を現地で観戦したハリルホジッチ監督。実際に目の前で観たコロンビアの情報も選手に還元されたのだという。
「強いとは言ってたし、現実を見て、自分たちのやらないといけないことがたくさんあるよという話をしましたよ」
チームの事情と監督の戦術をよく知る原口だからこそ、チームに重心が置かれた言葉が目立った。ウクライナ戦では、彼がピッチに立つ姿をぜひとも観たい。
取材:河治良幸
文:土屋一平
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