ボールを前に運ぶことのできる選手でありながら、川辺のスタッツを見ると1対1のドリブルの本数は驚くほど少ない。鹿島戦の記録では2回となっており、チーム最多のパトリック(6回)のほかティーラシンや和田拓也(3回ずつ)も下回っている。その一因と言えそうなのが、川辺のファーストタッチだけで局面を打開できる技術の高さだ。
それが最大限に発揮されたのが、15分のシーン。右サイドのパトリックからパスを受ける川辺の前には相手センターバックの昌子源が立ちふさがっていたが、川辺はファーストタッチでボールを前に運び昌子を完全に置き去りにしている。立ち止まってボールを受けてからアクションを起こすのではなく、どこにボールを置けばベストな状況を作り出せるかを予測できているのだ。
この特徴は第2節浦和戦の同点ゴールの際にも見て取ることができる。右サイドのスローインからのボールは川辺の重心の後ろに入ったかと思われたが、川辺はこれを後ろ向きに受けるのではなくワンタッチで自身の前、次の瞬間には攻撃のアクションが可能な位置に運んでいる。結果として川辺はこれだけで相手のディフェンスラインを崩しに掛かれる状況を作り出し、そこから強引に仕掛けてクロスを上げたこぼれ球から、広島のゴールが生まれた。
コメントランキング