フランス人指揮官がバックアップ選手のモチベーション維持に苦心しているのは、今季も同じだ。そしてリーグでこれ以上の取りこぼしが許されない今、Bチームをフィールドに送り出すリスクを冒せないため事態はより難しくなっている。シーズン開幕の時点でレンタルに出すよう求める声があった若手選手、マルコス・ジョレンテとダニ・セバージョスは残留したもののそれぞれ250分と203分しかプレーしていない。
セバージョスに至っては最近のアウェイでのレガネス戦で試合の最後29秒のために投入され、一度もボールに触れる時間はなかった。それは12月9日からリーグで出番がなかった21歳へのジダンからのお情けのように見えたが、実際にはスペインメディアからのからかいのスポットライトに彼を放り込んだだけだった。のちにジダンは「彼を辱める意図はなかった」と弁解し、選手扱いのうまい監督であれば犯さないはずのミスを認めている。
レアル・マドリードのレギュラー、元バロンドール受賞者である自身のような選手にモチベーションを与えるという点では、ジダンが選手の扱いに優れているのは間違いない。しかしサッカー界最高のモチベーターという評判を保ち、ジダンの下ではチャンスを得られないと考えてチームを離れていったような若手や経験豊富なバックアップ選手のメンタリティを理解するには、まだやるべきことがある。もちろんフランス人指揮官の就任からはまだ2年しか経過しておらず、完璧でないことは理解できる。もう少し時間が経てば、この欠点も消えてなくなるのかもしれない。
著者:Euan McTear
スコットランド、イングランドとスペインを専門とするグラスゴー出身ジャーナリスト兼ライター。スペイン紙『マルカ』、英紙『ガーディアン』、『ユーロスポーツ』などに寄稿。著書に『Eibar The Brave』がある。
Twitter:@emctear
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