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ドルトムントの新加入CB、マヌエル・アカンジとは何者か?経歴とスキルを徹底分析

マヌエル・アカンジ 写真提供:Getty Images

負傷による挫折

 彼に出場機会はあるのか?スイスの1部リーグでやっていけるのだろうか?これらの疑問に対する答えは、予想よりも早く明らかになった。開幕をU21チームで迎えたアカンジは、10月にはいくつかの重要なスイス・スーパーリーグの試合でサムエルに代わって起用されるようになっていた。(ところでワルテル、37歳で10試合中4試合も途中交代しないといけないのは、多分引退するべきってことだろう…)

 ここまで順調にステップアップしてきたアカンジのキャリアだったが、11月の筋肉の故障で2015年残りの試合を欠場すると、2月に復帰した直後の2016年3月15日の練習中に膝(十字靱帯)に重傷を負ってしまう。2017年2月11日に復帰するまで約1年を要し、その間にクラブはスヒーの相棒センターバックとしてリーベル・プレートからエデル・バランタを獲得した。アカンジの離脱は痛手ではあったが、バーゼルは2015/16、2016/17シーズンを制覇してリーグ8連覇を達成した。左腕に「PROVE THEM WRONG」(見返してやる)というタトゥーを刻んでいるアカンジにとって、負傷による失望と足踏みは乗り越えるべき障壁でしかなかった。

2017年はアカンジの年に

 驚くべきことにアカンジは春の16試合中14試合に先発して素晴らしい活躍を見せ、2016/17シーズンの優勝に貢献した。8月にはスイスの最優秀ルーキーに選ばれ、ヤン・ゾマー、ブレール・エンボロ、ニコ・エルベディ、更にはグラニト・ジャカやジェルダン・シャチリといった、後に成功を収めた過去の受賞者に肩を並べている。6月にはフェロー諸島戦で代表デビューを果たし、アンドラ戦にも出場した。

 スイスではアカンジやニコ・エルベディといった若手が、2006年から代表入りしているベテランDFヨハン・ジュルーの代わりに起用されるべきかが大きな議論を呼んでいた。ブラディミル・ペトコビッチ監督はアカンジのパフォーマンスを評価していたが、重要なワールドカップ予選のラトビア戦、ハンガリー戦、ポルトガル戦では元ハンブルガーSVのジュルーを起用し、結果的にポルトガルには痛い敗戦を喫した。

 予選開始から終盤まで一貫してグループ首位を走っていたスイスは、(おなじみの)ジュルーのいくつかのミスにより試合に敗れただけでなく、予選のプレーオフに回ることになってしまう。ペトコビッチはこの過ちから学び、11月の北アイルランドとのプレーオフではアカンジをファビアン・シェアと共に先発起用した。彼は素晴らしいパフォーマンスを披露し、プレーオフ2試合を通じて間違いなくベストプレーヤーだった。地元紙『アールガウアー・ツァイトゥング』が書いた通り、誰もジュルーの不在を寂しいとは思わなかったほどだ。

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名前:菊池大将
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