試合の勢いがミラン寄りに揺れたのは、ガットゥーゾ監督がマヌエル・ロカテッリをミッドフィールドから引き上げる選択をした時、ニコラ・カリニッチを負傷で失った時だ。パトリック・クトローネ、ハカン・チャルハノールが交替で入ると、即座に活気づいた。
トルコ代表のプレイメーカーであるチャルハノールは、パッとしないイタリアでの活動の中、ガラタサライとフェネルバフチェから関心を寄せられ移籍が噂されてきた選手だ。攻撃に息を吹き込み、ルチアーノ・スパレッティ監督下インテルのディフェンスにプレッシャーをかけて試合を開いた。一方クトローネについては、何が言えよう。この若者は”レッド&ブラック”の血を流し、誰もが感銘を受けずにはいられない伝染性のあるパーソナリティを持つ。
サポーター達は数週間に渡り、この19歳のクトローネがレギュラーでスタートすることを求めてきた。彼にはこれ以上無視できない的確な自信、アタッキングサードでの粘り、タイムリーなゴールで試合を決める才覚があるからだ。
これに相応しく、生粋の”レッド&ブラック”ボンバーは揺るぎない活躍で報われた。試合104分、冷静なシュートで試合を決定づけたのだ。スソがインテルのディフェンスを破るためにエリア内の彼を選んだ後だった。
クトローネは常に群衆を糧にしているようにみえる。同じようにクルヴァ・スッド(南側ゴール裏のスタンド席)のサポーター達もクトローネを糧とする。激しい120分で、ミランはその全てを必要としていた。彼はもはやただの根性の若者ではない。今シーズンは全大会で9ゴール挙げており、ミランのトップスコアラーだ。
今シーズン、感動的なミランのパフォーマンスをみることはとても稀だった。イタリアの上位7チームには1勝もしていない。しかし同試合はかなりの時間の間で最も刺激的な内容だった。チーム全体が自身や監督だけでなく、苦難を分かち合ってきたサポーター達のためにも懸命に戦った。
これがミラン前進にとっての決定的な瞬間となるかどうか。後半の躍進を楽しみ、ヨーロッパでの重要な展開をみていこう。そうする時間があったとしたら、それは今なのだ。
著者:Matthew Santangelo (football-italia.net)
『Italian Football Daily』のシニア・エディターを務めている。英紙『ガーディアン』や『フットボールイタリア』などにも寄稿するなど、多方面に渡り活躍中。
twitter:@Matt_Santangelo
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