著者:マリオ・カワタ
ワールドカップ最終メンバー発表前最後のテストマッチとなった、土曜日のオーストリア代表戦。1-2の逆転負けを喫した後、ドイツ代表のヨアヒム・レーブ監督は危機感を隠そうとはしなかった。
「今日のようにプレーしていたら、ロシアでは(優勝の)チャンスはない」
たしかに、この日の戦いぶりは連覇を狙う世界王者に相応しいものではなかった。長期離脱中だったマヌエル・ノイアーがギリギリのタイミングで実戦復帰したチームは、合宿にサプライズ招集されたフライブルクFWニルス・ペーターゼンがワントップで先発デビュー。11分にメスト・エジルが相手GKのミスから簡単にシュートを決めて先制に成功した時は、格下を相手に隙を見せず手堅く勝利を掴むドイツ代表らしい試合になるかと思われた。
しかし、この日は何かが違った。前半にMFユリアン・ブラントがGKとの1対1を逃し追加点を奪えず、どこか集中力を欠いた印象の守備からホームチームにいくつものチャンスを作られる。ノイアーの状態確認には打ってつけの状況ではあったが、53分にコーナーキックから完全にフリーのマルティン・ヒンターエッガーにボレーを叩き込まれて同点とされると、その後もルーズなディフェンスを修正できず最後はアレッサンドロ・シェプフに決勝点を許した。
これでドイツ代表は昨年11月以降の親善試合で5試合勝ちなし(3分2敗)となり、W杯予選終了後に一度も勝利を挙げていない。ここ最近の対戦相手はイングランド、フランス、スペイン、ブラジルと強豪国ばかりであり、親善試合の勝敗に大きな意味はないとも言えるが、W杯初戦が2週間後に迫った段階での隣国に対する32年ぶりの敗戦は、チームに自信を与えるものではない。
一部の選手は、以前からチームに警告を発していた。3月にホームでブラジル代表に敗れた際には、トニ・クロースが「一部の人が思っているほどいいチームではない」と周囲の高評価に見合わないパフォーマンスに苦言を呈している。冒頭のレーブ監督のコメントも、大会開幕までに大幅な改善が必要であるという選手たちへの明確なメッセージだった。しかし同時に指揮官は「パニックに陥ることはせず、冷静さを保つ」ことの重要性を強調し、再び成功を掴む自信があることも断言している。
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