アジア AFCチャンピオンズリーグ

ACLに優勝しても出場できない?UEFAも猛反発するクラブW杯改革案の問題点

著者:マリオ・カワタ

 決勝戦でリバプールを下したレアル・マドリードの3連覇により、今季のUEFAチャンピオンズリーグが幕を下ろした。これによりマドリードは3年連続で、12月に開催されるFIFAクラブワールドカップ(CWC)に出場することになる(今年は昨年に続いてUAE開催)。日本では長年トヨタカップが開催されてきた歴史もあり比較的注目度の高いCWCだが、残念ながら世界的な注目を集めるビッグイベントとは言えない状態が続いている。ヨーロッパでは大会の開催中でもそれを忘れてしまうほど情報量が少なく、決勝戦が辛うじて話題に上るくらいだ。スタジアムも全試合が満席になるわけではない。

 その大会を一新し、名前の通りクラブのワールドカップとして大イベントへと生まれ変わらせるべく提案されたのが、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が推し進めてきた改革案だった。フォーマットの主な変更点は2つで、1つは開催を毎年ではなくワールドカップと同様に4年に1度にすること。しかし選手が他チームに移ることがない代表チームと違い、毎年選手の入れ替わるクラブの大会を4年のサイクルで開催することには多くの人々が疑問を持つだろう。昨年ACLを制した浦和レッズのサポーターは優勝メンバーがそのまま世界の舞台に挑む姿に心を躍らせたはずだし、数年はおろか半年でチームを取り巻く状況は完全に変わってしまった。

 そしてもう1つの主な変更点が、出場クラブ数を現状の7から24に大幅に増やすことだ。提案された24クラブの内訳は、以下の通りだった。

• UEFA(ヨーロッパ):12クラブ
• CONMEBOL(南米):4~5クラブ
• AFC(アジア):2クラブ
• CAF(アフリカ):2クラブ
• CONCACAF(北中米):2クラブ
• OFC(オセアニア):0~1クラブ
• 開催国:1クラブ

 出場の条件としては、例えば出場枠の多いヨーロッパは過去4大会のチャンピオンズリーグのファイナリスト(最大8クラブ)に加えて、同じ期間に好成績を残したクラブとなる。南米も4年間のコパ・リベルタドーレス王者を出場させる十分な枠がある。問題となるのはアジアを含む他の地域だ。大会が4年に1度の開催で出場枠が2つしかなければ、基本的に全てのACL優勝チームを参加させることができない。もしこの大会方式が実現した場合は、優勝クラブの他年度の成績も考慮するか、直近の大会を優先するなどして出場クラブを決めることになるのだろう。

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